タカタ会長が辞意表明、再建の道筋つけ「バトンタッチ」=株主総会

2016年6月28日(火)17時55分

[東京 28日 ロイター] - エアバッグ部品の大量リコール(回収・無償修理)問題に揺れるタカタの高田重久会長兼社長は28日、都内で開いた定時株主総会で、「この会社がおかしくならないように、しっかりバトンタッチをするのが私の役目」と述べ、辞任の意向を明らかにした。

高田会長が公の場で辞意を示したのは初めて。

同会長は、株主から経営責任と進退の意思を問われると、自らが地位に恋々としているわけではないと言明。今年2月に発足した弁護士などからなる外部専門家委員会が策定している再生計画に触れ、「今後、会社を存続させるためにはどうするのか、当然、(同委員会が)私の件についても含んで考えている」と述べた。

会社再建のため私財を投げ打つ覚悟があるかを質した株主に対しては、同会長は「私の株主の立場も含めて外部専門家委員会にお願いしているのが現状。いろんなケースを考えたときに、私(の株主としての立場)に影響が出てくるのは間違いない」と答弁。高田会長ら創業家一族はタカタ株式の6割近くを実質的に保有している。

会長の進退を問う質問が出た際には、総会中で初めて株主から拍手が沸いた。会長の不明瞭な発言に対し、株主からは「声が小さくて聞こえない」との不満の声も出た。

自らの進退や今後の判断ついて、同会長の回答には外部専門家委員会に委ねると受け取られる表現が相次いだ。これに対し、会場からは「誠意を世間に伝えるのが大切ではないのか」との批判も上がるなど、高田会長の姿勢に対して厳しい雰囲気が広がった。

タカタ製エアバッグ部品問題では、同部品の異常破裂に関連したとみられる事故で少なくとも海外で14人が死亡、150人以上の負傷者(日本では1人)が出ている。総会冒頭には、一連の問題について高田会長ら経営陣一同が起立し、頭を下げて陳謝。2016年3月期は無配となったこともあらためて株主に謝罪した。

リコール費用は最大1兆円規模に上る可能性があり、タカタの財務悪化は避けられないため、外部専門家委員会が現在、出資を伴うスポンサーの選定作業を進めている。総会では、高田会長など取締役6人と監査役2人を選任する2議案が可決されたが、今回の経営体制は新しいスポンサーが描く新体制までの暫定的なものとなる見通しだ。

*内容を追加します。

(白木真紀)

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