消費増税先送り、経済の不透明感踏まえれば一定の合理性=S&P

2016年5月31日(火)17時49分

[東京 31日 ロイター] - 米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は31日、来年4月に予定していた日本の消費増税の延期について、経済の不透明感を踏まえれば「一定の」合理性があるとの見方を示した。

予定通り増税しても、財政目標達成に必要な歳入を確保できない可能性があるとしている。

ソブリン格付け担当シニアディレクター(アジア太平洋担当)、キム・エン・タン氏がロイターとのインタビューで述べた。

同氏は「増税の目的は歳入を増やすことだ。従って(増税の)延期には一定の合理性がある」と語った。

「現在の経済情勢は比較的不透明だ。円相場は昨年末からかなり上昇し、成長を幾分圧迫している」と指摘した。

予定通り増税すれば、数四半期にわたって低成長が続く可能性があると指摘。消費増税の先送りは、日本が財政再建への取り組みを放棄することを意味しないと述べた。

ただ、財政・金融政策の拡大には限界があり、大胆な構造改革を通じて経済成長と消費者物価を押し上げる必要があるとの見方も示した。

タン氏は「日本の財政赤字がこれほど高水準である理由のひとつは、インフレ率がマイナスだからだ。賃金や(企業)利益に左右される税収が伸びていない」と分析。「その一方で社会保障への支出のために歳出は着実に拡大している」と述べた。

S&Pは昨年9月、日本の格付けを「AAマイナス」から「Aプラス」に引き下げた。格付け見通しは「安定的」としている。

*内容を追加しました。

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