米第1四半期GDP改定値、0.8%増に上方修正

2016年5月28日(土)04時58分

[ワシントン 27日 ロイター] - 米商務省が27日発表した第1・四半期の国内総生産(GDP)改定値は、年率換算で前期比0.8%増となり、速報値の0.5%増から上方修正された。市場予想は0.9%増だった。

速報値と比べて住宅建設が大きく増えたことに加え、企業在庫も安定していた。貿易赤字は速報値よりも少なく、昨年第4・四半期に8.4%減に落ち込んだ税引き後の企業利益は0.6%増とプラスに転じた。一方、個人消費は緩慢で企業投資は軟調だった。

今年第1・四半期のGDPは上方修正されたものの、昨年第1・四半期以来の弱い伸びだった。昨年の第4・四半期は1.4%増だった。

第1・四半期は所得の伸びも上方修正された。その結果、所得面から経済活動を把握する国内総所得(GDI)は2.2%増となった。昨年第4・四半期は1.9%増だった。

エコノミストの間では、所得が堅調に伸びていることに加え、第2・四半期に入り景気が勢いを取り戻している兆しが出ていることを踏まえると、連邦準備理事会(FRB)は早ければ6月にも利上げに踏み切るのではないかとの見方が出ている。

MUFGユニオンバンク(ニューヨーク)の首席エコノミスト、クリス・ラプキー氏は、今回の統計で米経済は第2・四半期は堅調に成長するとの見方が裏付けられたとし、FRBが緩やかな利上げを継続するに十分なほどに米景気は加速しているとの考えを示した。

ドル高と世界的な需要低迷が輸出を抑制していることが米経済にとって打撃となってきた。原油安が石油開発企業の利益を押し下げ、これら企業に投資削減を強いていることも、経済を圧迫している。 

エコノミストらは、GDP統計の季節調整のモデルに問題があり、昨年の改良にもかかわらず季節要因を完全に取り除けていないとも主張している。第1・四半期のGDPは季節要因によって下振れしており、過去6年間のうち5年で平均以下の伸びとなっている。

米経済は第2・四半期に勢いを取り戻した兆しがある。4月の小売売上高やモノの輸出、鉱工業生産、住宅着工件数、住宅販売は伸びた。

アトランタ地区連銀は現在、第2・四半期GDPを2.9%増と予測している。ただ、在庫が高水準にとどまっていることが経済見通しの下振れリスクとなっている。

第1・四半期のGDPは、住宅投資が17.1%増と2012年の第4・四半期以来の大きな伸びとなった。速報値は14.8%増だった。住宅投資は第1・四半期のGDPを0.56%ポイント押し上げた。速報値では0.49%のポイントの押し上げだった。

企業在庫は696億ドルで、速報値の609億ドルから増えた。在庫の寄与度はマイナス0.20ポイント。速報値ではマイナス0.33ポイントだった。

米経済の3分の2以上を占める個人消費に1.9%増のままで修正はなかった。昨年第4・四半期の2.4%増と比べると伸びは鈍化した。消費者は第1・四半期に倹約し、自動車など耐久財の売り上げが減った。

可処分所得(税引き・インフレ調整後)は4.0%増と、速報値の2.9%増から大きく上方修正された。貯蓄は7826億ドルと、速報値の7123億ドルから増えた。

輸出はこれまで考えられていたほど弱くはなかった。輸入が下方修正されたこともあり、貿易のGDPへの寄与度は、速報値のマイナス0.34ポイントからマイナス0.21ポイントに改定された。

一方、エネルギー部門が引き続き弱含んだことで、設備投資は振るわなかった。機器の設備投資は9.0%減と、09年の第2・四半期以来の大幅な落ち込みだった。速報値は8.6%減だった。インフラ投資は8.9%減となった。速報値は10.7%減だった。

機器の設備投資は今年の第2・四半期も弱いままにとどまる可能性が高い。26日に発表された航空機と防衛関連を除いた4月の資本財受注は3カ月連続の減少となった。

住宅以外のインフラ投資は、速報段階の10.7%減から8.9%減に減少幅を縮小した。

*内容を追加して再送します。

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