日銀版コアコアCPI、4月は1%割れ 物価の基調に息切れ感

2016年5月27日(金)15時23分

[東京 27日 ロイター] - 日銀は27日、生鮮食品とエネルギーを除いた消費者物価(日銀版コアコアCPI)の前年比が4月に0.9%上昇したと発表した。3月の同1.1%上昇からプラス幅が縮小。2015年7月(同0.9%上昇)以来の1%割れとなり、日銀が重視する物価の基調の上昇に息切れ感が出ている。

日銀では、需給ギャップやインフレ期待などで構成される物価の基調的な動きについて、原油価格の急落でエネルギー価格の変動が激しく中、独自に試算している生鮮食品とエネルギーを除いた日銀版コアコアCPIの動向を重視している。

同CPIは2013年10月に前年比プラスに転じて以降、2015年12月に同1.3%の直近ピークをつけるまで順調に上昇を続けてきた。これが日銀が物価の基調は改善していると主張する大きな根拠の1つになっていた。

もっとも、2016年に入ってからは1月から3月にかけて3カ月連続で同1.1%上昇と足踏み。4月は節目と見られていた1%を9カ月ぶりに割り込んだ。

黒田東彦総裁は13日の講演でも、3月の日銀版コアコアCPIが1.1%となっていることをあげて「物価の基調は着実に改善している」と指摘。物価基調の高まりによって、目安とする生鮮食品を除いた消費者物価(コアCPI)も「2%に向けて上昇率を高めていくと考えられる」と述べている。

市場では、足もとの消費者物価には食品の上昇鈍化や財の弱さが目立つとし、日銀版コアコアCPIに「需給・コスト両面から下押し圧力を加え続けよう」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券・シニア・マーケットエコノミストの戸内修自氏)との見方もある。

物価の基調に変調の兆しが見られる中、物価2%目標の実現に向けた日銀の判断が注目されそうだ。

*内容を更新します。

(伊藤純夫 編集:吉瀬邦彦)

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