独バイエル、米モンサントに総額620億ドルでの買収を提案

2016年5月24日(火)13時08分

[フランクフルト 23日 ロイター] - 独医薬品・化学大手バイエルは、米農業関連・種子開発大手モンサントに対し、1株あたり現金122ドルでの買収を提案したと発表した。総額は620億ドルとなる。

実現すれば、世界最大の農業サプライヤーが誕生することになる。

バイエルは23日、新株予約権無償割当(ライツオファリング)を含め、デットとエクイティの組み合わせにより資金を手当てする計画だと明らかにした。

モンサントは先週、バイエルから買収提案を受けたと発表。買収条件は公表されていなかった。

バイエルが提示した買収額は、買収観測がまだ浮上していなかった5月9日のモンサント株価終値に37%上乗せした水準。また、2月29日時点のモンサントの12カ月利払い・税・償却前利益(EBITDA)の15.8倍。

買収が実現すれば、3年後には約15億ドルの年間相乗効果が見込めるという。

反トラスト法(独占禁止法)の専門家によると、両社の種子事業は大豆、綿、セイヨウアブラナなどで重複している。また、モンサントの除草剤「ラウンドアップ」が効かなくなった農家に対し、バイエルの競合品「リバティーリンク」は重要な代替商品となっている。

バイエル株は先週、買収のうわさが広がって以来14%下落していたが、23日にはさらに5.7%下げて2年半ぶりの安値で引けた。

<合従連衡>

世界的な農業用化学薬品企業は現在、合従連衡を急いでいる。コモディティ価格の下落が農家の収入を直撃したのに加え、種子および除草剤市場の収れんが進んでいるためだ。

スイス農業バイオ大手シンジェンタがモンサントの買収提案を拒否した後、中国化工集団(ケムチャイナ)がシンジェンタの買収を計画。米ダウ・ケミカルと米デュポンは合併で合意している。

モンサントをめぐっては、独化学大手BASFも買収を検討しているとされていたが、バイエルが先手を打った。関係筋は、BASFがバイエルと買収戦を繰り広げる可能性は低いと述べた。BASFはコメントを拒否した。

バイエルのヴェルナー・バウマン最高経営責任者(CEO)は一部投資家からモンサントとの合弁事業を勧められたが、税制上不利だとして拒否した。

モンサントがバイエルに接触したのは3月で、作物化学事業の買収に関心を示していた。当時は同事業の買収や合弁、その他の提携が選択肢として協議されていた。

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