再送:ユーロ圏経済、第1四半期は約5年ぶり高成長 3月失業率も改善

2016年4月30日(土)06時45分

[ブリュッセル/ベルリン 29日 ロイター] - 欧州連合(EU)統計局が発表した第1・四半期のユーロ圏の域内総生産(GDP)速報値は前期比0.6%増となり、市場予想の0.4%を上回った。

成長は2015年第4・四半期の0.3%から加速。主にフランスとスペインの経済が好調だったことで過去5年で最も大きな伸びとなった。

前年比では1.6%増となり、予想の1.4%を上回った。米商務省が前日発表した第1・四半期の実質GDP速報値は季節調整後の年率換算で前期比0.5%増。ユーロ圏経済は米国の約3倍のペースで成長したことになる。

同時に発表された3月のユーロ圏の失業率は10.2%と、前月の10.4%から改善。予想の10.3%も下回り、約4年ぶりの低水準となった。特にスペインで大きな改善が見られた。

INGのエコノミスト、バート・コリン氏は「第1・四半期は株価急落のほか、米国や中国を含む新興国の成長懸念の台頭や企業・消費者信頼感の低下など、さまざまなマイナス要因が重なった」としながらも、「ユーロ加盟国の国内経済の力強さが現在のユーロ圏経済成長のカギとなっており、これは主に雇用市場の改善に後押しされている」と述べた。

ただすべての統計が好調だったわけではなく、同時に発表された4月のユーロ圏消費者物価指数(CPI)速報値は前年比マイナス0.2%となり、横ばいだった前月からマイナスに転じた。予想はマイナス0.1%だった。

振れの大きい食品とエネルギー除くコア指数はプラス0.7%(修正)と、前月のプラス1.0%から減速。予想のプラス0.9%も下回った。

欧州中央銀行(ECB)は物価押し上げに向け3月に追加緩和策を打ち出したが、コアCPIの伸びが減速していることは、ECBが懸念している原油安による賃金低下などの2次的な影響の波及が進んでいる可能性がある。

ただECBのプラート専務理事は29日、スペイン紙エクスパンシオンとのインタビューで、追加利下げに動くにはインフレ見通しの大幅悪化を確認する必要があると指摘。そうした状況が近い将来に現実のものとなるとは予想していないとの見方を示し、ECBの政策を擁護した。

*4月のドイツ消費者物価統計が発表者側の申し出により訂正されたのに伴い、4月のユーロ圏消費者物価指数速報値(食品・エネルギー除く)の前年比の数字を「+0.8%」から「+0.7%」に修正します。

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