アングル:ビットコインに投資家の支持、関連ファンドが好成績

2016年3月22日(火)15時04分

[ニューヨーク 18日 ロイター] - 仮想通貨のビットコインが小規模な投資家の間で支持を得ている。ビットコインに投資するために設計されたファンドが利用できるためだ。

一部の富裕層投資家や、規模の小さいミューチュアルファンド、さらにはヘッジファンドのトレーダーなどは、ビットコインがリターンを高める力になっており、他の資産クラスとの相関関係も低いことを示していると指摘する。

もっとも投資コミュニティー全体でみると、ビットコインは依然としてニッチ(隙間的)な存在の域は出ていない。

ビットコインが代替通貨として広く利用されるようになるとの期待感も手伝って、ビットコインの価格は2013年年12月に1000ドルを超える水準まで上昇。時価総額は130億ドルに達した。

しかし、時価総額はその後は減少に転じ、17日時点では64億ドルとなっている。

仮想通貨の熱心な支持者は当初、透明性の高さと中央銀行や政府の支配を受けないという革命的な理想に惹かれた。しかし、13年に東京に拠点を置く取引所のマウント・ゴックスが、数億ドル相当の投資家の資金が紛失したことを認めて経営破たんすると、ビットコイン取引にまつわるリスクが露呈した。

初期のビットコインはギャンブルや犯罪者のウェブサイトとの関係も強く、既存の投資家には好まれなかった。

レッジャー・パートナーズ(ロンドン)の創業者兼マネジングパートナー、ジェレミー・ミラー氏は、64億ドルのビットコインの時価総額のうち50─90%は、ヘッジファンドに投資する個人など、「疑似機関投資家」と言えるような層が保有しているとみている。この傾向は過去2年間変わらない。

ミラー氏は、正真正銘の機関投資家によるビットコインの保有額を明らかにしていない。ただ、ファンドの資産配分に関して制約の少ない小規模投資家に比べるとその額は取るに足らないだろうという。

同氏は「それでも、当初のビットコインは政治的ハッカーを意味するハッカビスト(ハッカー+アクティビスト)が原点だったが、この2年間に以前よりも組織化されたエコシステムになり、ヘッジファンドやトレーダー、プロの投資家も参加するようになったという点は明らかだ」と話している。

<運用資産に組み入れ>

ビットコインへの投資に積極的なファンドは比較的に規模の小さいところが多い。最大手は1億6000万ドルの資産を運用するヘッジファンドのパンテラ・ビットコイン・ファンドだ。元タイガー・マネジメントのダン・モアヘッド氏が創設した。5万ドル以上の投資を行う機関投資家や個人が購入できる。

同ファンドのパンフレットによれば、設定は13年7月で、当時はビットコインは65ドル近辺で取引されていた。17日時点では418.80ドルで、13年7月に比べて500%を超える上昇率となっている。パンテラ・ファンドはファンドのパフォーマンスや投資家についてはコメントを控えている。

運用資産が6000万ドルを超えるザ・グレースケール・ビットコイン・インベストメント・トラスト(GBTC)も、投資家が利用できるビットコイン関連ファンドの1つ。ビットコインの提唱者バリー・シルバート氏と同氏のデジタル・カレンシー・グループの支援を受ける。店頭公開されている米国証券としては唯一、ビットコインに投資している。

教育とハイテク投資に特化したレドラ・キャピタル・アドバイザーズでマネジングディレクターを務めるアントニス・ポレミティス氏は「多くの顧客は資産の1%をビットコインに投資している。1%損失が出ても誰も人生が変わってしまうことはない。でも、もし10倍に増えれば、その時は非常に賢い投資をしたと感じるだろう」と話す。

4つの上場投資信託(ETF)を運用し、資産総額が計2億4000万ドルのARKインベストは、GBTCを傘下のネクスト・ジェネレーション・インターネットETFに1200万ドル、ARKイノベーションETFに7000万ドルそれぞれ組み入れている。

ARKのアナリスト兼ブロックチェーン商品の責任者Chris Burniske氏によると、昨年9月の投資開始以降、GBTCはネクスト・ジェネレーションのリターンを67ベーシスポイント(bp)押し上げ、ARKイノベーションでも62bpのプラス寄与をもたらした。

昨年全体のリターンは、ネクスト・ジェネレーションが15.29%、ARKイノベーションは3.76%だった。

(Gertrude Chavez-Dreyfuss記者)

*見出しを修正して再送します。

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