アングル:マイナス金利・人口減で試練の地銀、「脱横並び」へ問われる手腕

2016年2月26日(金)21時22分

[東京 26日 ロイター] - ふくおかフィナンシャルグループ(FG)と十八銀行の経営統合に対し、金融庁内では評価する声が上がっている。地元顧客のニーズをとらえ、県域を超えた統合を決断したからだ。日銀のマイナス金利政策や人口減で、地方銀行の事業環境は厳しさを増しているが、金融庁幹部は今こそ運用の高度化や成長企業への融資ビジネスを構築する好機ととらえている。「金太郎飴」のような横並び体質を脱することができるか、地銀の経営トップの手腕が問われている。

<「2つの統合」>

「非常に前向きな動きだ。期待している」――。金融庁のある幹部は、九州を地盤とするふくおかFGと十八銀行が経営統合に踏み切ったことを評価した。

その幹部は、長崎県を地盤にする十八銀がふくおかFGの傘下に入れば、県域を超えたビジネス展開を考える地元企業へのメリットが大きいばかりでなく、長崎の地域経済活性化にもプラスに働くとみている。

特に長崎県南部で十八銀と競合するふくおかFG傘下の親和銀行が、2年後に合併予定であることも、市場では意外感をもって受け止められた。

ある地銀の幹部は「当行は、1県の中で地銀一番手、二番手地銀、信用金庫、信用組合が『序列化』され、身動きがとれない。営業先の新規開拓は非常に難しい」と話す。この地銀幹部には、十八銀と親和銀の合併構想が旧来のしがらみを打ち破る動きに映ったという。

<マイナス金利政策を「口実」にするな>

日銀のマイナス金利政策を受け、事業環境が厳しさを増すなかで、今後のビジネス展開をどうするか考えあぐねている地銀もある。「日銀のマイナス金利政策で『外堀』は埋まった。だが、ここで統合に動けば、経営状況が非常に悪いのではと勘ぐられる」(地銀幹部)との声が聞かれる。

しかし、金融庁幹部は金融政策を口実に手をこまねいている地銀に厳しい視線を送る。「いつも日銀の金融政策のせいにしていないか。緩和政策がなければ、低金利環境がなければ儲かっているとでも言うのか」と疑問を投げかける。

担保・保証に過度に依存しない事業性評価に基づく融資の実現、超低金利下での運用の高度化、運用におけるリスク管理体制の構築、5年―10年先を見据えた経営戦略の構築――。デフレ脱却を目指し、日銀がマイナス金利政策を打ち出してきた今こそ「金融庁が長らく掲げてきたこれらのテーマに早急に取り組むべきではないか」というのが、同庁幹部の思いだ。

<人口減少の入り口>

ふくおかFGと十八銀の統合が発表された26日、総務省は2015年国勢調査の速報値を発表。1920年の調査開始以来、初の人口減少となった。九州での地銀再編劇は、人口減の長崎を地盤とする十八銀が人口増の福岡を本拠にするふくおかFG傘下に入る構図でもある。

人口減少が始まった日本では、減少幅の大きな地方ほど急速にビジネス圏が縮小している。従来型のビジネスモデルにしがみついていては、じり貧は目に見えている。

金融庁幹部は「地銀のビジネスは『金太郎飴』では意味がない。望ましいビジネスは地域によって異なる。経営統合だけが答えではない。再編は目的ではなく、あくまで手段だ」と話している。

(和田崇彦 編集:田巻一彦)

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