焦点:G20、財政刺激策や通貨安競争で協調望み薄

2016年2月24日(水)19時45分

[東京 24日 ロイター] - 中国・上海で26、27日に開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は、インフラ投資や減税などの財政刺激策が主要議題の1つに浮上してきた。ただ、財政に余力のあるドイツは消極的とみられ、声明に協調行動が盛り込まれることは望み薄。

米国が意欲を示す通貨安競争のけん制でも新たな方向性が出る可能性は低く、「プラザ合意」の再現とはかけ離れた新味のないG20になるリスクもありそうだ。

財政の活用も含め、政策余地の拡大を求める――。G20の開催を前に、米財務省高官は22日、議長国である中国に消費主導型への構造改革を促すとともに、経常黒字国などに対し、機動的な財政運営を行うよう要請する考えを示した。

経済成長の持続に向けて各国の財政運営に期待する声が強まる背景には、日米欧で金融政策の方向性が異なり、マクロ政策協調の余地が狭まっていることがある。

米連邦準備理事会(FRB)は昨年12月に9年半ぶりの利上げに踏み切り、今年も追加利上げのタイミングを模索中だ。

ドル先高観が昨年後半から高まり、ドル高に直結。昨年10─12月期の米企業決算は、ドル高の影響で減益となったケースが続出した。こうした最近の情勢を踏まえ、米国は通貨安競争の流れをけん制する意図をこれまでにも増して鮮明にしている。

2015年9月のアンカラでのG20声明では「通貨の競争的な切り下げを回避」との文言が盛り込まれた。米国はこの表現を今回も盛り込みたいとしているもようだ。

財政刺激策に期待を寄せる米国だが、財政規律を重視するドイツは、機動的な財政出動とは距離を置いていると見られ、主要7カ国(G7)の中でも足並みがそろっていない。

新興国の中には、原油に代表される資源価格の下落で税収が落ち込み、財政刺激策を取ろうとしても、財源が見当たらないという国もあり、G20の歩調が一致する可能性は低い。

これまでのG20声明では「債務対GDP比を持続可能な道筋に乗せつつ、機動的に財政政策を実施する」との表現が盛り込まれた。複数の国際関係筋は今回もこの表現を維持する公算が大きいと述べている。

国際金融筋のひとりは「政策協調と盛り上がった時期もあったが、結局は『プラザ合意』のような目玉はない」と指摘している。

(梅川崇 梶本哲史 編集:山口貴也)

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