ドル114円台・株900円超下落、長期金利はG7初のマイナスに

2016年2月9日(火)16時31分

[東京 9日 ロイター] - 9日の東京市場は、欧米市場でのドル安・株安を引き継いでリスクオフ心理が強まり、日経平均は前日比900円超の下落となった。

ドル/円は一時、114.20円と2014年11月以来の安値を記録。長期金利は、主要7カ国(G7)で初めてマイナスとなり、一時、マイナス0.035%まで低下した。麻生太郎財務相は9日午前、為替は「動きが荒い」とけん制したが、ドル反転の兆しは見えない。

発端は、ユーロ圏における銀行部門の健全性に対する懸念から、金融株が大幅に下落したことだった。

欧州中銀(ECB)のマイナス金利政策を含めた緩和的な金融環境下で利ざやが縮小し、銀行の利益性や資本力が不安視され、今年に入ってSTOXX欧州600銀行株指数は約24%低下。8日だけで5.59%低下した。

中でも、9.5%下落したドイツ銀行の値動きが目立ち、フランスの銀行最大手BNPパリバとオランダ最大のING、スペインの大手サンタンデール、英金融大手バークレイズも5%以上の値下がりだった。

この動きを受け、8日のNY市場でも金融株や景気関連株が売られ、ダウは一時、前日比300ドルを超す下げとなったが、前日比177.92ドル安の1万6027.05ドルで引けた。

9日の東京株式市場は、この流れを引き継ぎ、全面安の展開となった。朝方から幅広い銘柄に売りが先行。一時114円台まで進んだ円高が収益を悪化させるとの懸念から輸出株が売られたほか、欧米金融株安を受けて銀行、ノンバンクなどの金融セクターも軒並み安となった。

午後も下げ幅を拡大し、一時、1万6025円と1月21日に付けた直近安値の1万6017円26銭を試す動きとなった。

市場では、世界的な金融株の下落に関連し「マイナス金利で先行したユーロ圏で、金融株が下落し、国内の金融株にも悪影響を与えている」(国内市場関係者)との声が出ている。

三井住友アセットマネジメント・チーフストラテジスト、石山仁氏は「マイナス金利導入の一方で、貸出が伸びるような状況にないとなれば、国内銀行の収益基盤は厳しくなる。これが海外市場に悪影響をもたらせば、スパイラル的な株安も懸念される。イエレンFRB(米連邦準備理事会)議長の議会証言も控えてはいるが、日銀の黒田総裁はじめ、政策サイドからの何らかのコメントが欲しいところ」と述べている。

外為市場では、ドル売り/円買いが急進展。朝方は115円後半で始まったが、日経平均の下げとともに円高も進展。午前10時過ぎに2014年11月以来の114円台となり、一時、114.20円まで下落した。

市場では、「海外株式市場の動向を踏まえた織り込みより、日経平均の下げがきつかった」(国内金融機関)との声が聞かれた。

新生銀行・執行役員・金融市場調査部長の政井貴子氏は、ドル/円について「決して楽観できる地合いではない。115円以下の目先の節目としては、110円ぐらいしか見当たらない。きょうの欧州時間以降にもう一段の下押しがある場合には、数円単位での下落も警戒する必要がある」と述べた。

ドル安・円高の進展を受け、長期金利は初めてマイナスに突入。午後の取引で一時、0.035%まで低下した。「株安が止まらず、先物に連動する格好でリスク回避の買いから利回りに低下圧力がかかった」(国内証券)という。

また、別の国内証券の関係者は「日銀のマイナス金利導入決定でも止まらないドル安/円高と株安により、市場参加者は追加利下げを織り込み始めている」と語った。

(田巻一彦)

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