アングル:売り浴びる「FANG」株 ディフェンシブ銘柄に逃避

2016年2月9日(火)11時37分

[ニューヨーク 8日 ロイター] - フェイスブック、アマゾン・ドット・コム、ネットフリックス、グーグル(現アルファベット )の「FANG」株に投資して昨年高い運用成績を上げたファンドマネジャーが、これらの銘柄から資金を引き揚げている。世界経済が予想よりも弱いためで、FANG株は一転して売りを浴びている。

先週末時点でアマゾンは年初来の下落率が28.7%に達し、ネットフリックスは27.6%、アルファベットは11.4%下げた。フェイスブックだけはほぼ横ばいだった。

ファンドマネジャーによると、FANGはフェイスブックが37%、ネットフリックスが144%それぞれ値上がりするなど昨年大幅に株価が上がっただけに、真っ先に売りの対象になっている。

フェデレーテッド・インベスターズのシニア・ポートフォリオ・マネジャー、フィル・オーランド氏は「成長株から距離を置いている。景気が減速し、投資家は防衛的な姿勢を採りつつある」と話す。

オーランド氏がFANG株を売り始めたのは、株式市場全体で売りが広まった1月初旬。代わりに医薬品のファイザーや医薬品・健康関連用品大手のジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)といった、高配当のディフェンシブ銘柄を物色した。

オーランド氏によると、FANG株は割高なため利益確定売りを浴びやすい。例えばネットフリックスの株価収益率(PER)は294.8倍、アマゾンは404.9倍で、いずれもS&P500種構成銘柄全体の17倍以上に達している。

オークマークのポートフォリオマネジャーのビル・ナイジェン氏は、昨年末にアマゾン株を全て手放した。アマゾンの株価が2倍に上昇する一方で競争他社は株価が急落し、割高感が強まったため。アマゾンから引き上げた資金は金融株や工業株に投資したという。

<強まる安全志向>

こうした「FANG株離れ」は、ファンドマネジャーが利益の薄い成長株よりも収益の安定した銘柄を選好し始めたことを示す兆候の1つにすぎない。

ファンドマネジャーが第1・四半期に投資を増やしたのはエネルギーのユーティリティ・コンソリデーテッド・エジソン、玩具のハスブロ、害虫駆除などを手掛けるロリンズなどで、これらの銘柄はいずれも株価が年初来で3%上昇した。

また米景気減速で連邦準備理事会(FRB)は利上げのペースを落とすとの思惑から、主に株価の上昇期待よりも高配当が魅力の公益株も昨年12月半ば以来に約13%値上がりした。

ただウェルズ・ファーゴの株式ストラテジストのジーナ・マーティンズ氏によると、投資家の安全志向の高まりが米株式市場の底打ちを示すかどうかはまだはっきりしないという。

一方、ジェンセン・クオリティ・グロース・ファンドの共同ポートフォリオマネジャーのエリック・シェーンスタイン氏は、投資家は2009年以来初めてとなる長期的な下げ相場に備えており、ディフェンシブ株のアウトパフォームが続きそうだと話した。同氏のファンドでポジションの大きな保有銘柄にはペプシコ、マイクロソフト、手術用機器のベクトン・ディキンソンなどが含まれているという。

(David Randall記者)

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