アングル:マクドナルド、中国市場の回復力でケンタッキー上回る

2016年2月5日(金)16時36分

[上海 5日 ロイター] - 「ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)」や「ピザハット」などを展開する米ファストフードチェーン大手ヤム・ブランズと、同業の米マクドナルドによる中国市場を舞台とした競争が熱を帯びている。

ロイターが既存店売上高データを分析したところ、食品安全問題で低迷した中国市場をめぐっては、マクドナルドの回復スピードがヤムを上回っていることが明らかとなった。最大の稼ぎ頭である中国部門の分社化を計画しているヤムにとっては由々しき事態だ。

マクドナルドが先週発表した中国の第4・四半期既存店売上高は4%増。プラス成長は2四半期連続となった。3日にヤムが発表した下期の既存店売上高伸び率もプラスとなったものの、伸び幅はマクドナルドを下回った。さらに、2015年通年の中国事業は初の減収となった。

マクドナルドが好調な理由は具体的には明らかになっていない。中国経済の減速と地元ライバルの伸長は両社にとって共通の脅威でもある。

ヤムは依然として中国におけるファストフードチェーン最大手ではあるが、マクドナルドにとって優位な点が1つ存在する。それは2012年の食品スキャンダルで焦点となった鶏肉商品に対し、中国人が依然として非常に敏感になっていることだ。

上海に住む販売員のYang Luoさん(26)は、「鶏肉についていろいろなうわさを聞くので、ケンタッキーに行ったりマクドナルドでチキンメニューを食べるのは非常にまれ。でもハンバーガーは大丈夫」と話す。

<食品安全問題の影響>

ロイターの分析によると、食品安全問題が発覚する前の水準に既存店売上高を回復させる道のりでは、マクドナルドがヤムの上を行っている。ヤムの売上高は依然として2011年当時の8割を割り込んでいるのに対し、マクドナルドの売上高は11年当時の95%を上回る水準まで回復した。

チャイナ・マーケット・リサーチ・グループの上海駐在アソシエイト・プリンシパル、ジェームス・ロイ氏は「食品スキャンダルでは、消費者マインドに与えた影響はマクドナルドよりもはるかにKFCのほうが大きかった」と話す。

ただ、ヤムの中国駐在広報担当者は、下半期の既存店売上高伸び率がプラスとなったことは、客足が戻っていることを示していると強調。電子メールでロイターに対し、「中核商品に注力し、引き続き中国事業を拡大していく」と説明した。

マクドナルドの中国駐在担当者にコメントを求めたが、回答は得られなかった。

※中国におけるヤムとマクドナルドの既存店売上高伸び率に関するグラフィックはこちらをクリックしてご覧下さい。

http://reut.rs/1Pz3y8U

※2011年以降の既存店売上高の回復状況に関するグラフィックはこちらをクリックしてご覧下さい。

http://reut.rs/1KZaLrD

※関連動画はこちらをクリックしてご覧下さい。

http://reut.rs/23MkXPL

(Adam Jourdan 翻訳:川上健一 編集:加藤京子)

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