シャープ再建策、シンガポールの投資ファンドが透明性要求=関係筋

2016年2月3日(水)23時46分

[東京 3日 ロイター] - シャープの再建スポンサー選びが最終局面を迎えている中、シンガポールに拠点を置く日系の投資ファンドが、同社に対して選定プロセスの透明性の確保を求める書簡を送ったことが、3日分かった。複数の関係者がロイターの取材に答えた。他の外資系ファンドなどもシャープの再建策決定プロセスに関心を示しており、同様の動きが続く可能性がある。

関係者によると、書簡を送ったのは日本株投資を行っている投資ファンド「エフィッシモ・キャピタル・マネジメント」。同社は、旧村上ファンドに在籍していたファンド・マネージャーらが立ち上げ、株主提案を武器に、出資した企業に経営改革を突き付けるアクティビスト(モノ言う株主)として知られる。

書簡は「情報開示の充実の要請」と題し、1月27日付でシャープに送付された。書簡の中で、エフィッシモはシャープの発行済み株式の4%を保有していると説明。そのうえで、再建策について「厳しい経営状態の中で、経営陣が複数社との協議や提案の検討に関して最善の判断を尽くして頂くことは当然」と評価した。

しかし、「(シャープの)消極的な情報開示姿勢が市場の混乱を招いている」と指摘し、「できる限り株主の投資判断に資する積極的な情報開示」をするように求めた。

関係者の1人は「シャープの取締役が、意思決定のプロセスで善管注意義務や忠実義務を果たしたのかが問われる訴訟に発展する可能性も否定できない」と語っている。

シャープは、書簡の送付に対し「ノーコメント」(広報部)としている。

シャープの再建策をめぐっては、政府系ファンドの産業革新機構と台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業がスポンサーに名乗りを上げており、シャープの取締役会は4日にもスポンサーを決める見通し。

銀行関係者によると、同社の資金繰りは厳しさを増しており、早期の決着が求められる情勢だ。国際的なM&A案件とも目されており、「株主らステークホルダーに対する説明責任や透明性の確保は当然」(外資系証券幹部)との意見も出ている。

(布施太郎 取材協力:浦中大我 編集:田巻一彦)

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