株は日銀決定受け乱高下後に急反発、円安で業績改善期待

2016年1月29日(金)15時44分

[東京 29日 ロイター] - 東京株式市場で日経平均は急反発した。日銀のマイナス金利導入決定を受け、その効果と副作用とで見方が交錯し後場前半は乱高下。

その後、金利差拡大による円安進行が企業業績を改善させるとの期待感につながり、日経平均は1万7500円台を回復してきょうの取引を終えた。

低調な国内経済指標や企業決算が重しとなり、前引け時点で前日比88円安となっていた日経平均は後場に急騰した。日銀は28─29日の金融政策決定会合でマイナス金利を導入する追加金融緩和を決定。市場ではポジティブ・サプライズとして受け止められ、日経平均の上げ幅は600円に迫った。

その後、マイナス金利導入の副作用が意識されると次第に売りが強まり、日経平均は一時274円安となった。マイナス金利の導入が、量的金融緩和策の足かせになりかねず効果を疑問視する声があったほか、収益への悪影響が懸念され、三菱UFJなど銀行株が軒並み下げに転じたことが指数の重しとなった。

もっとも「マイナス金利の導入により、国内金利が低下し金利差で円安に振れることが国内企業業績の改善につながる」(大和証券・上席ストラテジストの高橋卓也氏)との見方が広がると、日経平均は再び買い直された。トヨタが前日比4%を超す上昇となり、終値は今年1月5日以来の高値水準を回復。金融緩和の恩恵を受けやすい不動産や証券、ノンバンクなどが大幅高となった。

東証1部の売買代金は4兆4317億円と、2015年8月25日以来、約5カ月ぶりの高水準となった。

個別銘柄では、小糸製作所がストップ高となり、昨年来高値を更新。28日発表した2016年3月期連結業績予想の上方修正を好感した。高田重久会長兼社長の辞任を含む経営陣の一新検討が伝わったタカタや、MVジャパンによる株式公開買い付け(TOB)が発表されたモリテックスなども買われた。

半面、ファナックが大幅安。28日、2016年3月期の通期営業利益予想を従来比3.8%下方修正し、前年比29.5%減の2101億円に引き下げたことが嫌気された。1銘柄で日経平均を約94円押し下げた。業績悪化が目立ったオムロンやNECなどは昨年来安値を更新した。

東証1部騰落数は、値上がり1721銘柄に対し、値下がりが186銘柄、変わらずが28銘柄だった。

日経平均

終値      17518.3 +476.85

寄り付き    17155.06

安値/高値   16767.09─17638.93

TOPIX

終値       1432.07 +39.97

寄り付き     1400.73

安値/高値    1370.15─1435.31

東証出来高(万株) 412505

東証売買代金(億円) 44317.89

(杉山容俊)

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