アングル:カナダの不動産、値ごろ感から外国人投資家が殺到

2016年1月26日(火)14時21分

[モントリオール/エドモントン 25日 ロイター] - カナダでは外国人投資家がスキーシャレーなど不動産物件の購入に動いている。過去2年間のカナダドル安で物件が割安となったためだ。

カナダドルの対米ドル相場は2013年以来で25%下落。とりわけエネルギー産業が集中する観光地のアルバータ州は原油安の影響で住宅価格が下がり、物件の値ごろ感が強い。

ニューヨークの情報技術(IT)会社のオーナーであるデーブ・スミス氏はアルバータ州で物件を探している。「今カナダの不動産に投資しないのはばかげでいる。値上がりは時間の問題だからだ」と話す。

キャンモアやバンフなどアルバータ州の高地にある風光明媚な都市の不動産業者は、地元の買い手不在を外国人投資家によって穴埋めできるのではないかと期待を寄せている。アルバータ州の失業率は2010年以来の高水準だ。

サザビーズ・インターナショナル・リアルティのクリスチャン・デュボワ氏によると、半年前まで引き合いは皆無だった。今は「問い合わせが入り始め、ものすごい件数だ」という。

最も引き合いが増えたのは米国と英国の顧客で、これほどの盛り上がりは2000年代の半ば以来だという。

外国の富裕層は隣接するブリティッシュコロンビア州でもスキーリゾート地の物件を購入している。同州では、アジアマネーが主要都市バンクーバーの住宅市場を押し上げているとされている。

一部の投資家はカナダの不動産を利回りの低下した債券や値動きの激しい株式に代わる魅力的な投資先と位置付けており、商用不動産にも恩恵が及んでいる。

リアルネットカナダのデータによると、トロントの商用不動産に対する昨年の外国人投資は約11億カナダドル(7億7459万米ドル)と、07年以来の高水準だった。このうち金額が100万カナダドル以上の案件は39件で、全体の90%はカナダドル安が加速した下半期に集中していた。

関係筋によると、バンクーバーでは欧州の富豪であるクラウス・ミハエル・キューネ氏がブルックフィールド・カナダ・オフィス・プロパティーズからオフィスビルのロイヤル・センターを4億2000万カナダドルで購入する。この地域でのオフィスビルの購入金額としては過去最高だという。

キューネ氏の代理人とブルックフィールドの広報担当者はコメントを避けた。

一方、2000年代初頭のカナダドル安時にカナダで休暇用の物件を購入したものの、世界金融危機で手放さざるを得なかった米国の一部の買い手が及び腰なのも確かだ。

湖が点在し富裕層や著名人の大型コテージが集中するトロント北部のマスコーカでは住宅の改装が盛んだ。

不動産代理店を経営するボブ・クラーク氏は「マスコーカに物件を保有する米国人が大規模なリフォームを進めている。カナダドル安が理由だ」と話した。

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