法人企業統計7-9月期は設備投資堅調、利益面に海外減速の影響

2015年12月1日(火)12時36分

[東京 1日 ロイター] - 財務省が1日発表した2015年7─9月期の法人企業統計(金融業・保険業を除く)によると、設備投資額(ソフトウエアを含む)は全産業で前年比11.2%増、金額は10.4兆円にのぼった。10期連続の増加。製造業、非製造業とも2ケタ増加となった。季節調整済み前期比(ソフトウエアを除く)でも5.4%増となった。

製造業では、輸送用機械が新車生産の能力増強や研究開発関連投資で寄与が大きく、次いで情報通信機械もスマートフォンや自動車向けの電子部品で能力増強投資が伸びた。電機も自動車向け部品の投資が好調だ。

非製造業ではリースが資産購入を増やし、建設業では賃貸物件の建設に投資を増強。電気業は発電所の安全対策投資などを増やした。

一方、売上高は全産業で前年比0.1%増にとどまった。製造業では、石油や鉄鋼、化学は市況低迷で減収だった。非製造業では、スマートフォン販売や娯楽、飲食サービスを中心に好調だったが、企業向け関連の卸売、運輸などが低調だった。

前期比でも、全産業で3期ぶり増収に転じたが、伸び率は0.2%にとどまった。

経常利益は前年比9.0%増で15期連続の増益となったが、製造業は同0.7%の減益だった。

前期比では、全産業で6.3%の減益。中国、アジアなど海外販売の伸び悩みや素材市況の低迷、人手不足によるコスト上昇が影響したとみられる。

各種統計で弱めと判断されてきた設備投資が、同統計の実績値で堅調を示したことについて、市場関係者からは「どれが正しい姿を示しているのか、悩ましい」(農林中金総合研究所)との声も挙がる。今後についても「資本財出荷指数などの供給側の関連指標は横ばい圏の推移。急拡大を見込むのは時期尚早だろう」(みずほ証券)との見方もある。

*詳細を追加しました

(中川泉 編集:宮崎大)

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