GPIF、運用改革後初の赤字 7―9月に7.8兆円の損失

2015年11月30日(月)17時29分

[東京 30日 ロイター] - 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は30日、2015年7―9月の運用損失が7兆8899億円だったと発表した。世界的な株安の影響で利回りは5.59%のマイナスとなり、安倍内閣が主導した昨年10月の運用改革後、初めての赤字に陥った。年金資産の積立金は135兆1087億円と、過去最大に膨らんだ6月末の141兆1209億円からおよそ6兆円減少した。

GPIFの運用損益が赤字となったのは6・四半期ぶり。中国や新興国経済に対する不安の高まりが今年8月に世界的な株安を招き、国内外の株式運用が振るわなかった。

資産ごとの運用損失は国内株式が4兆3154億円(利回りはマイナス12.78%)、外国株式が3兆6552億円(同10.97%)、外国債券が2408億円(同1.26%)と、運用見直しで比重を高めた3資産がいずれもマイナス運用だった。逆に、国内債券で3022億円(利回りは0.60%)を稼いだ。

年金特別会計で保有する短期資産について、厚生労働省は9月末の時点で4兆2000億円としており、GPIFは6月末から国内債券を6800億円程度減らす一方、国内株式を3700億円程度、外国債券を3500億円程度、外国株式を1兆6600億円程度買い増ししたもようだ。

9月末の年金積立金全体に占める保有資産割合は国内債券38.95%、国内株式21.35%、外国債券13.60%、外国株式21.64%となった。

<10月以降は回復か>

四半期ベースでみると、今回の赤字額はリーマン・ショックに伴う金融危機で生じた08年10―12月の損失5兆7398億円を上回る規模だ。

GPIFは、昨年10月末から国内外の株式運用を増やした。現在は国内債券35%(以前は60%)、国内株式25%(同12%)、外国債券15%(同11%)、外国株式25%(同12%)とする運用割合を基本に、改革後の収益の積み上げは6月末までに12兆0967億円に上ったが、7―9月の株安でその6割を失った計算になる。

10月以降の運用損益はプラスに回復している公算が大きい。指標となる「ベンチマーク収益率」は今年4―10月の国内株式(TOPIX配当込み)が1.93%とプラスに転じたほか、マイナスに陥った外貨建て資産についても、足元で戻り歩調となっているためだ。

ただ、巨額の積立金を抱えるGPIFの損益は市場変動から受ける影響も大きく、今後、いかにリスクを管理するかなどの課題が残る。

(山口貴也、梅川崇)

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