米為替報告、中国に一段の元高容認迫る 経済再均衡に不可欠と

2015年10月20日(火)15時35分

[ワシントン 19日 ロイター] - 米財務省は19日、半期に一度の為替報告書を公表し、中国の人民元について「適正な中期的価格」を依然下回っているとした上で、経済のリバランスを図る上で一段の人民元高は不可欠であり、これを容認するよう中国政府に求めた。

前回4月時点での報告では人民元について、著しく過小評価されていると指摘していた。中国を含め、為替操作国の認定はなかった。

ただ、原油価格の下落により、年間6000億ドル超が原油輸出国から原油輸入国にシフトしているとし、ドイツや韓国など、経常収支黒字国に対しては、ぜい弱な世界経済成長の押し上げに貢献するよう求めた。

財務省は、中国からの資本流出額(非直接投資)は8月だけで2000億ドルとなり、1─8月では5200億─5300億ドルに達した可能性が高いと予想。「現時点では市場要素が人民元に下押し圧力を掛けているが、それらは一過性のものである可能性が高い」と指摘した。

大量の資本流出の背景には、中国の景気減速をめぐる懸念や米連邦準備理事会(FRB)の利上げ観測がある。特に中国が8月11日に人民元の対ドル基準値を引き下げた後、流出ペースは加速している。

16日発表されたデータに基づく9月の中国人民銀行(中央銀行)と商業銀行の外貨取引は7613億元(1198億5000万ドル)相当の売り越しで、売り越し額は過去最大となった。元相場の安定化が狙いとみられる。

市場筋は人民銀行が国内外で積極的な為替介入を行ったとみている。

8月の対ドル基準値切り下げという異例の措置は市場を驚かせたが、米議員の多くは中国が国際市場での競争力を引き出すため、意図的に人民元安に誘導しているとの批判を繰り返している。中国が為替操作国に認定されたのは1994年が最後だった。

報告では「一段の人民元高が重要であり、中国国内の消費者の購買力を高めつつ、非貿易財・サービスへの生産シフトを後押しするだろう」と指摘した。

韓国に対しては為替介入を抑制するようあらためて求めるとともに、ウォンは「過小評価」されており、中期的な上昇を容認すべきとの見解を示した。

日本については、経済成長を支援し、輸出促進に向けた円安への依存を減らすため、財政政策を再調整するよう促した。

*内容を追加しました。

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