米労働市場は引き締まり、一部で賃金上昇=地区連銀報告

2015年9月3日(木)04時57分

[ワシントン 2日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は2日公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)で、一部の職種や産業で賃金の若干の上昇がみられるほどに、米労働市場は引き締まっているとの認識を示した。一方で、企業からは中国経済減速による影響が出ているとの指摘も出た。

報告は7月から8月中旬の米経済について、総じて大半の地域や分野で拡大したとした。

労働市場の改善と中国経済の先行き懸念は、今月にも利上げに踏み切ることを検討している米国の中央銀行が直面する困難な難題を浮き彫りにした。FRBの政策当局者は米国の労働市場が最大雇用の域に近づいていると考えているものの、中国は世界経済に大きな影を落としている。世界的な経済減速への懸念は原油価格の重しになっており、物価の伸びはしばらく、FRBが目標に掲げる2%を下回って推移するとみられる。

ボストン連銀の調査先である企業の一部は、中国の景気減速による影響を感じ始めているとした。ボストン連銀は「われわれの調査先の多くは中国が業績を左右する要因だとする一方で、その影響は今のところわずかだとしている」と報告し、製造業やIT(情報技術)製品、サービスの需要が中国で弱含んでいると指摘した。

ダラス地区では原油安や最近の中国懸念でローン需要の先行きの雲行きが怪しくなってきた。

それでもなお、ほとんどの地区が雇用には控えめ、あるいは緩やかな伸びがあったとした。地域によっては労働市場の引き締まりが賃金の小幅上昇につながった。リッチモンド地区では一部のヘルスケア企業が優秀な人材を確保するために契約金を支払っていた。サービス業でも賃金が底堅く伸びた。

今回の経済報告はボストン連銀が8月24日までに入手した情報に基づいてまとめた。

*内容を追加して再送します

  • 1/1

今、あなたにオススメ

今、あなたにオススメ