物価目標、厳密な2%目指すものではない=石田日銀審議委員

2015年7月30日(木)17時54分

[京都市 30日 ロイター] - 日銀の石田浩二審議委員は30日、京都市内で会見し、現行の日銀の金融政策の枠組みは柔軟なインフレーション・ターゲットとし、厳密な消費者物価上昇率2%を目指すものではないとの認識をあらためて示した。家計の現金支出と関係ない持ち家の帰属家賃などの問題で物価が2%目標に届かないような状況の場合、さらに物価を押し上げるような金融政策は疑問だと語った。

石田委員は午前の講演で、日銀が重視する基調的な物価の動きをみるには「エネルギーを除いた総合指数もみていくことが適当」と指摘。また、持ち家の帰属家賃について「指数自体が住宅の質の劣化を反映していないことなどによるバイアスが存在するとの指摘もある」と語った。

このため、講演資料に総合からエネルギーを除いたもの、さらに持ち家の帰属家賃を除いたものを掲載。それぞれ5月の前年比上昇率はプラス1.2%、プラス1.5%となっており、日銀が目安としている生鮮食品を除いたベース(同プラス0.1%)よりも高い。

石田委員は、2つの指数を示した理由について「基本的に物価目標は総合であり、何かを差し引くことではない」とした上で、あくまでエネルギー価格の変動が大きい中で物価の基調を評価するためと説明した。

帰属家賃によって物価には下方バイアスがかかりやすくなっており、「今のままで物価2%を目指すためには、除く帰属家賃で2.4%に上げなければいけない」と指摘。家計が支払う対象物の物価が2%に達しているにもかかわらず、帰属家賃の問題で物価が目標に達していない場合、「まだ目標に行かないから、どんどん一般物価を上げなければいけないような金融政策を推し進めていくことに疑問を持っている」と語った。

そのうえで、「若干、(物価が)低めに行っても、0.2%とかそのくらいの差で2%目標の達成について、どれほど厳密な議論をする意味があるのか」とも発言。現行の物価目標は「2%に行く行かない、あるいはそれを超えた時でも、その時の経済・金融情勢も見ながら運営していくということだと思う。数字だけで見るものではない」と柔軟性を強調した。

さらに、日銀が2016年度前半頃と見通している物価2%の到達時期についても「時期について細かく議論するのは生産的ではない」とし、「時期が若干ずれようが、問題はそこ(2%)に必ず行くという確信が出てくるかだ」と語った。

*内容を追加します。

(伊藤純夫 編集:田中志保)

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