アングル:好環境が終わった米キャタピラー、事業縮小と経費節減へ

2015年7月24日(金)10時50分

[シカゴ 23日 ロイター] - 米重機メーカーのキャタピラーは、中国やブラジルの活況な市場や石油産業の拡大に便乗する形で利益を膨らませてきた。だがついに経営首脳が23日、良好な事業環境が終結したと事実上宣言した。

新興国経済の減速、石油産業の停滞、ドル高による海外利益圧迫といった要因にさらされているキャタピラーは、事業縮小と経費節減に乗り出すことを表明したのだ。

ブラッド・ハルバーソン最高財務責任者(CFO)はロイターのインタビューで「われわれは効率化を進めており、今後ビジネスが上向いた際に必要になる生産能力を今から確保はしない」と語り、最近になって世界の20カ所の工場で生産を取りやめたり、減らしたことを明らかにした。

キャタピラーは2012年以降に全世界で正社員の10%強に当たる2万人を削減している。過去1年間ではおよそ4800人を減らした。ただ23日は、雇用をさらに減らすかどうかには言及しなかった。

通期の1株利益見通しは5ドルを維持する一方、売上高見通しは10億ドル下方修正し、これらの目標達成は経費節減に頼る意向をにじませている。

キャタピラーによると、中国やブラジルの住宅建設活動の低下や、米国内での石油・天然ガスの施設関連販売の軟化、ドル高による欧州の販売下押しなどを背景に、建機の減収が予想されている。

またダグ・オーバーヘルマン最高経営責任者(CEO)は23日アナリストに対して、同社にとって重要なセクターである鉱業も予見できる将来にわたって拡大が見込めないと述べた。

来年増収に転じる可能性について、バイスプレジデントのマイク・デウォルト氏は、世界経済の動向次第になるとした上で「われわれはまさに成長を必要とする状況にある」と述べた。

ハルバーソン氏は同社の予想通り下期の売上高が落ち込めば、1930年代以降で初めて3年連続の減収に陥るとの懸念を示した。

モーニングスターのアナリスト、Kwame Webb氏は「キャタピラーの競争相手も同じ問題に直面している。つまり中国経済は非常に弱く、ブラジルの資本財関連ビジネスは猛烈な逆風に見舞われている」と指摘した。

(Meredith Davis記者)

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