米5月貿易赤字は2.9%増、輸出低調

2015年7月8日(水)01時00分

[ワシントン 7日 ロイター] - 米商務省が7日発表した5月の貿易収支の赤字額は前月比2.9%増の419億ドルとなった。輸出の減少が貿易赤字の拡大につながった。海外の需要鈍化やドル高に対する懸念が高まる可能性がある。

市場は426億ドルの赤字を見込んでいた。エコノミストらは第2・四半期国内総生産(GDP)の予想をやや上方修正するかもしれない。

5月は資本財の輸出減少が重しとなり、輸出総額が前月から15億ドル(0.8%)減少の1886億ドルとなった。輸入総額は3億ドル減(0.1%減)の2305億ドルだった。

米連邦準備理事会(FRB)が利上げの意向を明確にした昨年の半ばごろからドルは値上がりしており、米国の輸出の足かせとなっている。一方で、欧州中央銀行(ECB)は弱含む域内経済を下支えするため金融緩和を進めてきており、ユーロがドルに対して値下がりしている。

こうしたことを背景に、5月のドイツへの輸出(季節調整前)は6.0%減った。フランス向けは4.2%減だった。メキシコへの輸出は2.1%、日本向けは3.0%それぞれ減少した。

5月は中国からの輸入は9.5%増えた。中国企業が人民元安や不当な補助金を使って米国で市場シェアを増やそうとしているとの米製造業からの批判の声はさらに高まりそうだ。

石油の純輸入は58億ドル減り、2002年以来の低水準だった。

輸出の減少は、2007─09年の金融危機時と比べて米国の経済成長の源が変わってきたことを示す。当初は製造業などの輸出産業が経済をけん引していたが、景気回復が広がるにつれ、建設やサービスなどの国内産業が原動力になってきた。

第1・四半期は悪天候やドル高、エネルギー業界の支出削減、西海岸の港湾で起きた労働争議が打撃となり、0.2%のマイナス成長となったが、最近の雇用統計や個人消費支出などの経済統計は第2・四半期GDPが持ち直したことを示す。国内経済の底堅さは、FRBが今年の終わりにかけて利上げに踏み切る材料となる可能性がある。

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