IMFのギリシャ債務報告書、欧州は公表に反対=関係筋

2015年7月4日(土)04時36分

[ブリュッセル 3日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)が作成した、ギリシャ債務の持続可能性に関する報告書をめぐり、ユーロ圏諸国が公表をやめるよう働き掛けていたことが3日、関係筋の話で分かった。過去数カ月のギリシャ支援協議で深まった、欧州諸国とIMFの軋れきが表面化した格好だ。

IMFが2日公表した報告書では、おそらく債務削減などの大規模な軽減策が実施されない限り、ギリシャ債務は持続可能にはならないと指摘。加えて今後3年に少なくとも500億ユーロの追加支援が必要との見方を示した。

公表は債権団の改革案受け入れの是非を問う国民投票の3日前というタイミング。1日のIMF理事会では、欧州諸国のメンバーが公表時期に疑問を呈す一方、IMFで大きな影響を持つ米国は公表を支持していたという。

また欧州諸国とIMFはともに、ギリシャのチプラス首相が回復の兆しが出ていた、ぜい弱な同国経済に打撃を与えたとの見解で一致しているが、報告書の公表がこうした見方を後退させかねないと、欧州側は懸念したもようだ。

IMF理事会では結局、すべてを勘案した結果、国民投票前にすべての証拠やデータを公表すべきとの意見が優勢になったという。

ある外交筋はIMFの報告書公表について、欧州諸国が債務軽減を盛り込まない限り、今後のギリシャ追加支援にIMFは関わらないという意思表示だと語った。

チプラス首相は3日行った国民向けのテレビ演説で、債権団の支援条件受け入れ拒否を、国民に勧めている自身の判断の正当性が、IMFの報告書により裏付けられたと主張した。

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