6月米雇用22.3万人増、労働参加率低く9月利上げ後退も

2015年7月3日(金)00時25分

[ワシントン 2日 ロイター] - 米労働省が2日発表した6月の雇用統計によると、非農業部門の雇用者数は22万3000人増となり、前月と比べ伸びが縮小した。

求職活動を諦めた人などが増えて労働力人口が43万2000人減ったことから、失業率は5.3%と0.2ポイント低下。2008年4月以来の低水準となった。

市場では、米連邦準備理事会(FRB)が9月に利上げするとの見方が後退する可能性がある。

非農業部門雇用者の増加数は予想の23万人に届かず、中身を見ると、建設業の増加はゼロ、鉱業は減少。さらに、4、5月分の数字は合わせて計6万人の下方修正となった。

6月は求職者を含む働き手の割合を示す労働参加率が62.6%と、1977年10月以来の低さとなった。5月は4カ月ぶりの高水準となる62.9%だった。

1時間当たりの賃金は横ばい。前年比では2.0%増と緩慢な伸びにとどまった。

ウィルミントン・トラストの債券ポートフォリオマネジャー、ウィルマー・スティス氏は、「若干、失望させられる内容だった。米連邦準備理事会(FRB)にとっては、最初の利上げまでの時間が多少、稼げたことになる。9月利上げに対しては若干の疑問が出てきたが、われわれは依然として利上げ時期は9月になるとみている」と述べた。

また、ムーディーズ・アナリティクスの首席アナリスト、マーク・ザンディ氏は、「7月と8月の雇用統計も同様のものになれば、FRBは9月に利上げに踏み切らないとみている。賃金の上昇がみられなければ、利上げは来年まで持ち越される可能性がある」としている。

雇用統計を受け、米短期金利先物市場は上昇。米連邦準備理事会(FRB)が利上げを来年まで遅らせるとの見方が強まった。CMEフェドウォッチによると、2016年1月の利上げ開始が有力視されている。2015年12月の利上げ予想確率は49%にとどまり、雇用統計発表前の57%から低下した。

ただ、今回の雇用統計にも明るい点はあった。本人の意に反して職探しをあきらめた人や、正規雇用を望みながらパートタイムで働く人を含めたU6失業率は10.5%と、前月の10.8%から低下、2008年7月以来の低水準となった。

このほか、長期失業者数は2008年9月末以来の水準に低下した。

部門別では、製造業が前月の7000人増に続き、4000人増。小売業が3万2900人増、輸送・保管業が1万7100人増となった。鉱業はエネルギー部門の雇用削減により3000人減となったが、減少ペースは前月の1万8000人から緩和している。

*内容を追加して再送します。

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