新たなギリシャ救済策、国民投票後の協議はどう進むか

2015年7月2日(木)11時11分

[ブリュッセル 1日 ロイター] - ギリシャのチプラス首相は30日、欧州連合(EU)に対して条件付きで財政再建策を受け入れるとの書簡を提示し、ユーロ圏財務相は1日にこれについて電話会議を持ったが、5日の国民投票の結果が判明するまで協議を凍結するとの結論に達した。

首相の書簡は30日深夜に失効した従来の支援策を延長するのに間に合わず、同国の国際通貨基金(IMF)に対する16億ユーロ(18億ドル)の債務はデフォルトに陥った。

首相はまた、あらためて国民に財政再建策に反対するよう呼びかけ、債権者側の反発を煽った。首相が新たに2年間の救済策を要求したことで、協議が再開した際には次のような手続きが取られそうだ。

◎ユーログループはギリシャが資金的支援を必要としているとの認識で合意する可能性がある。理論上は1日にも新たな救済手続き開始で合意することもできたが、それを見送った。

◎ユーロ圏財務相会合のデイセルブルム議長が欧州安定メカニズム(ESM)の理事会長という立場でギリシャからの要請を受け付けた暁には、欧州委員会と欧州中央銀行(ECB)にその評価を依頼することになる。

◎評価には時間を要する可能性もあるが、欧州委員会とECBはこれまでの数カ月間、ギリシャ政府と協議を重ねてきた実績がある。今週始まった資本統制によって経済状況の把握がややこしくなった面はあるが、必要な資金の迅速な査定は難なく行えるだろう。

◎チプラス首相はESMに対し、2017年に期限を迎える債務の返済を賄えるだけの融資を求めた。首相によるとこれは約300億ユーロ。

◎ユーログループがギリシャの融資要請受け入れを決めた場合、欧州委、ECB、そして恐らくはIMFに対し、ギリシャに義務付ける詳細な条件を盛り込んだ覚書(MOU)について交渉するよう要請するだろう。こうした条件こそがこれまで対立の中心点だった。

◎チプラス首相は今回、先週反対した条件を受け入れる用意があると示唆したが、例外も設けた。ユーロ圏筋が1日明らかにしたところでは、例外項目は受け入れられる内容ではなかった。しかし基本的には、合意が手の届く範囲に近づいたように見える。

◎ギリシャとユーログループが条件で合意すれば、ユーロ圏各国政府は融資を承認せざるを得ず、この融資は各々の国の財務省が保証を付けることになるだろう。国によっては、特にドイツでは、議会で採決する必要が出るだろう。多くの国の国会が夏休み入りすることが障害になるかもしれない。しかし複数のEU高官によると、このプロセスには1週間を要し得るが、より迅速に進めることも可能だ。

◎複数のEU高官によると、両者が条件合意に前向きな姿勢を示せば、すべてが3週間以内に完了する可能性があり、ECBが保有するギリシャ国債の返済期限である20日にぎりぎり間に合うかもしれない。仮にギリシャが期限通りに返済できなければ、ECBによるギリシャ銀向け緊急流動性支援は打ち切られる可能性がある。

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