インタビュー:消費者金融を収益の柱に=工藤・新生銀次期社長

2015年5月29日(金)02時19分

[東京 29日 ロイター] - 新生銀行の工藤英之次期社長はロイターとのインタビューで、現在策定中の中期経営計画で、大手銀行とは異なるビジネスモデルを構築し、盛り込んでいきたいと語った。

具体的には、グループ傘下の企業で展開する消費者金融事業を収益の柱と位置付けるほか、法人部門は小型のプロジェクトファイナンスなど特色ある融資ビジネスを展開する方針を示した。

工藤氏は、6月の株主総会後の取締役会で社長に就任する。公的資金注入行のりそなホールディングスやあおぞら銀行は6月にも完済する計画で、めどが立っていないのは新生銀だけとなる。

主な一問一答は以下の通り

――現在、中計経営計画を策定中だ。

「今、われわれの持っている経営資源が何か。強みや弱み、マーケットでの立ち位置は何なのか。これらを見直している。今の新生銀行に似ている銀行は他に存在していないので、メガバンクとは異なるビジネスモデルが出てくるはずだ。法人ビジネスのやり方を変えてもいいし、消費者金融事業を持っている利点もある。新しいビジネスモデルを中期経営計画で示せるのではないかと思っている」

――具体的にはどんなものになるのか。

「各レベルで自由な議論をしているので、決めつけたくはないが、主要な要素になるものはある。そのうちの1つは、コンシューマーファイナンス(消費者金融)だ。国内のファイナンスビジネスで珍しくきちんと利ザヤが取れてるビジネス。これまで市場が縮小してきたが、この1―2年で残高が伸び始めた。この残高拡大と利ざやの維持は大きなポイントだ。ただ、まだまだ物足りたいのは、買収した傘下の企業や銀行本体で必ずしもシナジーが生まれていない。グループでの一体運営できるようにしていきたい」

――法人部門は。

「法人は、いろんなトライアルをやってきた。しかし、残高も顧客数も伸ばそうとしてフォーカスしきれなかった部分もある。ばく然と件数や残高で追いかけるのではなくて、絞り込みをきちんとしないといけない。われわれがメガと同じようにユニバーサルサービスを提供する意味はない。われわれと付き合って意味があると顧客に思ってもらわないと持続しない。われわれも顧客も、お互いに選別が進むのだろうと思う」

「キャッシュフローファイナンスやストラクチャードファイナンスなどには強みがある。国内では、再生可能エネルギーのプロジェクトなどは、規模がちょうどいい。われわれなりに案件の組成ができて、地元の地銀に声をかけることができる。特殊なファイナンスのノウハウで案件を組成しながら、地銀と連携することはできるのではないかという議論はしている」

――消費者金融事業の海外展開は。

「常に意識はしている。国内市場は底を打ったので、当面は残存者メリットは享受できると思うが、もう少し長いタームで考えると、人口動態考えてもそうそうは伸びない。われわれはかなりソフィスティケートされたオペレーションを持っており、成長途上にある国、たとえばベトナムや中国本土などにチャンスはないかと考えている」

(布施太郎 編集:田巻一彦)

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