焦点:スカイマーク再建に暗雲、ANAと最大債権者に亀裂

2015年5月26日(火)22時15分

[東京 26日 ロイター] - 民事再生手続き中の航空会社、スカイマーク再建の雲行きが怪しくなってきた。29日の東京地裁への再建計画提出期限直前に、同社の最大の債権者である米航空リース会社がANAホールディングスの参画に一転して「NO」を突き付けたためだ。

ANA以外に支援企業の選択肢はないとの指摘があるものの、ようやくまとまった再建計画が土壇場で迷走を始める恐れも出てきた。

<「330」型機リースを巡る確執>

はしごをはずされた――。スカイマークの最大債権者である米航空リース会社、イントレピッド・アビエーションがANAに対して抱いているのはこんな思いだろう、とイントレピッドに近いある人物は話す。

同氏によると、両社の間に亀裂が走った背景には、スカイマーク破綻の引き金になったエアバス社製の中型機「A330」を巡る確執があるという。

イントレピッドはもともとスカイマークにA330型7機を今夏までにリースする計画だった。しかし、急激な円安でドル建ての航空機リース料や燃料費などの負担がかさみ、同社が破綻。この結果、イントレピッドにはスカイマークに対する債権およそ1000億円が回収できないまま残った。スカイマークの負債総額約3200億円(届け出による)の3分の1を占める。

この多額の資金をANAにA330をリースすることで取り戻す、というのがイントレピッドの希望で、同社関係者によれば、ANAとの間にはほぼ合意ができていた。しかし、先週、ANA側からリースへの同意を取り消されたという。これが今回、同社がスカイマーク支援へのANAの参画を拒否する直接の原因となった。

ANA側も、イントレピッドとA330型機について交渉していた事実は認めているが、協議の具体的な内容については「2社間での守秘義務があるので差し控える」(ANA広報)とし、「今後、交渉を続ける予定はなく、同機を導入する予定もない」と話している。

<再建案への地裁判断に影響も>

スカイマーク支援に真っ先に名乗りを上げた投資ファンド、インテグラルの佐山展生代表は、今年1月に一度支援を断ったANAに対する不信感から、ANAの参画にはもともと後ろ向きだった。

その流れを変えたのが、ANAの参画に賛成したイントレピッドだったという。大口債権者の意向を無視できないインテグラルは、ANAによる支援案を受け入れざるを得なかった。

現在のスカイマーク再生計画案では、インテグラルがスカイマークの50.1%、金融機関を含むANA陣営が計49.9%を出資し、共同で再生を支援することで基本合意している。時間の制約などから「ANA参画による案のままで、とりあえず地裁に提出するしかない」と指摘する関係者もいる。

再生計画案の実施には、東京地裁の認可に加え、6―7月ごろに開く債権者集会で、債権総額の2分の1以上の債権者の同意と議決権行使者の過半数の同意を同時に満たさなければならない。

債権者と支援企業間の不協和音が表面化した今回の事態により、再建計画の実効性が疑われ、地裁の判断に影響すると懸念する見方もある。一方、市場関係者には「同案が否決されたとしても、ANAには特にダメージはない」との声もあるが、地裁や債権者側の反応によっては計画案が軌道修正される可能性も否定できない。

(白木真紀 編集:北松克朗)

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