ECB総裁「成長低迷脱却へ改革断行を」、QEで停滞に危機感

2015年5月23日(土)01時47分

[シントラ(ポルトガル) 22日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は22日、失業率の高止まりと低水準の投資に直面する中、改革を断行しなければ将来的に成長率が低迷するとして、ユーロ圏各国政府にあらためて改革を実施するよう求めた。

総裁は中銀関係者らが出席するECB主催の会合で「緩和的な金融政策により、政府や議会は改革努力を先送りできるとの議論は誤りだと言明する」と述べた。

総裁が各国政府に改革実施を迫るのはこれが初めてではないが、ECBが大規模な量的緩和(QE)を進める中、改革の重要性を包括的に訴えるのは、政府の改革への取り組みが足踏みしている現状に総裁が危機感を募らせていることを浮き彫りにしている。

一方で「経済見通しは過去7年間のどの時点よりも良好だ」と指摘。「金融政策は経済に効果をもたらしている」とし「成長は上向いている。インフレ期待は最低水準から回復した」との認識を示した。

だが「われわれの問題がなくなったわけではなく、循環的な回復だけで欧州全ての問題を解決することはできない」とし、「ユーロ圏の一部に影響を及ぼしている債務問題は未解決で、多くの国を悩ませている構造的な高失業率もまだ存在する。通貨同盟の制度を完璧にする必要性はまだある」と語った。

危機による投資と雇用への打撃は今後ある程度回復するものの、潜在成長率は今後も危機前の水準を大きく下回る、との見通しを示した。

その上で、ユーロ圏の成長ペースがいかに米国に遅れを取っているかに言及。改革を実行しなければ、さえない成長見通しをさらに悪化させると主張した。

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