ギリシャ年金・労働改革で対立、資金難のなか協議に暗雲

2015年5月5日(火)05時30分

[アテネ/ブリュッセル 4日 ロイター] - ギリシャと国際債権団の間で、年金や労働改革で意見の隔たりが依然として大きく、集中協議の行方が見通しにくくなっている。ギリシャ政府報道官は4日、月末までに新規資金が必要と訴えた。

サケラリディス政府報道官は記者会見で、国際通貨基金(IMF)への月内返済(約10億ユーロ)を含む、すべての支払い義務を果たす意向を示した。

ただ「流動性問題が焦眉の急だ」と指摘。「ギリシャ政府は5月末まで、流動性の注入を待つことはない。可能な限り早期に、自国経済に流動性が注入されると期待している」と述べた。

政府当局者によると、ドラガサキス副首相は5日、フランクフルトで欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁と協議する。資金確保への取り組みを強めるとみられる。

ギリシャのスクルレティス労働相は4日、IMFは厳しい労働改革を要求しているとテレビで述べ、不満をにじませた。

IMFが、年金カットや大規模なレイオフに関する見直しを要求、ギリシャ政府の最低賃金引き上げ計画に反対していると指摘。「彼ら(IMF)は、ギリシャ国民の生活をこの5年間、破壊してきた(緊縮策)を一切いじらないよう求めている」と述べた。

バルファキス財務相も5日、パリとブリュッセルを訪れ、 欧州委員会のモスコビシ委員(経済・財務担当)らと会う。

ギリシャ紙カシメリニは、国内行がギリシャ中銀から融資を受ける条件を大幅に厳格化することについて、ECBが今週、検討すると伝えた。資金の代わりに差し出す担保価値の削減率(ヘアカット)を引き上げる。具体的には現在の23%から44、65、80%に引き上げることなどが検討されるという。ヘアカット率を引き上げれば、実質的に担保の価値が低下しギリシャの銀行が得られる資金の額が減少する。

ECBは報道に関するコメントを避けた。ただ、内情に詳しい関係筋は、担保政策の変更は今週行わず、緊急流動性支援がもう1週間延長される見通しを示した。

ECBのコンスタンシオ副総裁は、ギリシャと債権団が合意でき、ギリシャのユーロ圏離脱などは回避されるとの見方を示した。

オランダ紙とのインタビューが4日付紙面に掲載された。副総裁は「最悪のシナリオは避けられると確信する」と強調した。

また「ユーロ圏のストレスや脆弱性の度合いが、完全に変わった。連鎖反応の兆しはみられない」と述べ、ECBの債券買い入れプログラムが、ギリシャ問題をめぐる懸念の緩和につながっていると指摘した。

*内容を追加して再送します。

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