企業の物価見通し1年後+1.4%で横ばい、原油安でも期待変わらず

2015年4月2日(木)10時06分

[東京 2日 ロイター] - 日銀は2日、3月の全国企業短期経済観測調査(短観)における「企業の物価見通し」を発表した。企業が想定する消費者物価(CPI)の前年比上昇率は、全規模全産業の平均で1年後が1.4%上昇と前回12月調査と同水準だった。

足元では原油価格の下落を受けて消費税率引き上げの影響を除いたベースのCPI(生鮮食品除く)はゼロ%に低下しているにもかかわらず、企業の物価見通しに大きな変化は見られていない。

1年後の物価見通しを産業・規模別に見ると、製造業は大企業が1.0%上昇と前回調査に比べて0.1%ポイント低下したが、非製造業は1.1%上昇で変わらず。中小企業は製造業が1.5%上昇と0.2%ポイント低下、非製造業は1.6%上昇と変わらずだった。

3年後は全規模全産業で1.6%上昇と横ばい、5年後は1.6%上昇となり、前回調査から0.1%ポイント低下した。5年後については、大企業、中小企業ともに製造業が0.1%ポイント低下、非製造業が横ばいとなっており、1年後を含めて製造業の慎重姿勢が目立つ。

同時に公表した各企業の主要な製品・サービスの販売価格見通しは、現在と比べて平均で1年後に0.9%上昇と前回に比べて0.1%ポイント低下する一方、5年後は2.2%上昇と0.1%ポイント上昇した。3年後は1.7%上昇と横ばいだった。

日銀は今回の物価見通しについて「ほぼ変化はない」(調査統計局)としながらも、「円安の持続性などに確信が持てない中で、物価が上昇していく見通しにも企業がやや慎重になっている可能性がある」(同)と見ている。

企業の物価見通しは昨年3月調査分から公表を開始し、今回が5回目。回答企業数は1万1000社程度だった。1万社規模で企業の物価見通しを調査するのは世界的にも例がない。

(伊藤純夫)

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