中国全人代GDP目標7%に引き下げ、李首相「新常態」入り宣言

2015年3月5日(木)14時37分

[北京 5日 ロイター] - 中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が5日、北京で開幕した。李克強首相は冒頭、政府活動報告の中で2015年の経済目標について明らかにし、国内総生産(GDP)伸び率を7%前後に、消費者物価指数(CPI)伸び率を3%前後にそれぞれ設定した。

経済成長率とCPI上昇率の目標は、それぞれ昨年の7.5%、3.5%から引き下げられた。昨年の経済成長率は7.4%で、住宅市場の低迷、工業部門の生産能力過剰、政府支出の減少を背景に24年ぶりの低水準となった。政府は景気減速を容認しつつ、消費を主体とした質の高い長期安定的な成長を目指す構えだ。

李首相は政府活動報告の中で「中国経済に対する下振れ圧力は増している」と説明。「中国の経済発展における根深い問題は、一段と明確になっている。われわれが今年直面する困難は、昨年よりも大きくなるだろう。今年は、全面的な改革深化において極めて重要な年だ」と述べた。

「各種の矛盾やリスクをなくし、『中所得国のわな』を回避し、現代化を達成するため発展に頼らなくてはならず、適切な成長速度が必要だ」と指摘。「わが国の経済発展は『新常態(ニューノーマル)』に入った」との認識を表明した。

首相は国有企業改革を進め、銀行システムや金融市場の自由化に乗り出すと表明。「安定成長や経済再編にとっても、極めて重要な年だ」と指摘した。

また、環境汚染や腐敗問題に対処すると宣言。「今年は法治を推し進める」としたうえで、環境汚染は「人民の生活の質を損なう」とし、「環境関連法や規制を厳格に執行しなければならない」と訴えた。腐敗問題に対しては「ゼロ容認」だと強調し、腐敗に関与した者については地位の高低を問わず厳格に対処する姿勢を示した。

15年のマネーサプライ(M2)伸び率目標は12%前後とした。今年の財政赤字については、対GDP比2.3%となる見通し。新規雇用については1000万人超の創出を目指す。

固定資産投資伸び率は15%を目標とする。

<「国防強化」、2桁増続く>

政府はまた、今年の国防予算は10.1%増の8869億元(1414億5000万ドル)になると公表。これにより、中国の国防予算は過去20年間、ほぼ途切れることなく2桁増となる。

14年の国防予算は前年比12.2%増の1300億ドルで、米国に次ぐ規模だった。

李首相は政府活動報告の中で「国防を強化し、新たなハイテク兵器および装備の研究開発を進め、防衛関連科学技術産業を発展させる」と説明。「全ての政府部門は常に、国防および軍の強化に積極的な関心を持ち、これを支援しなければならない」と指摘した。

中国は国防予算の詳細な内訳を公表していないが、複数の専門家によると、増額分は海軍の対潜艦増強や空母建造に充てられる見通しだ。

国営新華社は4日、国防予算の伸び率は5年ぶりの低水準になると伝えていた。

*内容を追加します。

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