中国全人代が5日開幕、経済減速下で痛み伴う改革進むかが焦点に

2015年3月3日(火)16時27分

[北京 2日 ロイター] - 5日開幕する中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)では、国内経済の減速が主要テーマとなる見通しだ。今年の国内総生産(GDP)伸び率目標は25年ぶりの低水準となる7%前後に設定されるとみられる中、デフレ懸念に対処しつつ、痛みを伴う改革に道筋を付けられるかが焦点となる。

政府系シンクタンク、中国国際経済交流センター(CCIEE、北京)のシニアエコノミスト、王軍氏は「焦点は国有企業改革、価格改革、財政改革となる」と指摘。「経済成長率目標は間違いなく引き下げられるだろう。7%目標は適切だ」と述べた。

目標の引き下げにより、国有企業や法制、財政制度の改革を進めやすくなることが期待されている。輸出・投資主導型経済から、持続可能な内需主導型経済への転換が課題となっているためだ。

一方で、1月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比0.8%上昇と5年ぶりの低水準となり、デフレ懸念が強まっている。

中国人民銀行(中央銀行)はこのほど、昨年11月に続き利下げを実施。ただ、企業の債務負担が軽くなり、デフレ懸念払しょくにつながるかもしれないが、利下げ自体が改革を後押しするわけではない。

実際、利下げで最も恩恵を受けるのは、資産に対する債務比率が72%(2013年次報告書)となっている中国国際航空(エア・チャイナ)などの大型国有企業だろう。

こうした利下げの恩恵も一時的にすぎず、エア・チャイナをはじめとする国有企業は硬直化した雇用制度、為替ヘッジスキルの欠如といった課題に依然として直面している。

<地方財政問題>

大きな課題の1つは地方政府に中央政府の改革を実行させることだ。景気が減速する中で不良債務の水準が上昇。地方政府や国有企業にとって重しとなっており、さらに困難な改革を先送りする動きにつながりかねない。

ANZのエコノミストによると、財政制度の改革案は中国経済の4.2%に相当する地方政府の資金不足に対処するものになる。適切に実行されなければ、資金不足が政府支出の伸びを抑え、想定を下回るGDP伸び率につながるとみられる。

地方政府による不透明な借り入れをストップしようとする改革は、既に税収や土地売却収入が落ち込む地方予算にとってさらなる打撃となりかねない。地方債発行計画は、情報開示を嫌う地方政府の全面的な支持を得られない可能性もある。

新たな予算法は透明性を高めるために、地方政府が傘下「融資平台(資金調達のためのプラットフォーム会社)」の債務を保証することを禁じている。

政府への助言を行う著名エコノミストは「今年の財政改革は非常に難しい」と指摘。「彼ら(地方政府)は巨額の債務を報告すれば非難されるだろうし、過小報告すれば地方債の発行枠が減らされてしまうだろう」と述べた。

※英文参照番号[nL4N0W4211](契約の内容によっては英文がご覧いただけない場合もあります)

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