米中が通商協議再開へ、ファーウェイ制裁一部緩和

2019年6月29日(土)20時25分

[大阪市 29日 ロイター] - トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は29日の会談で、5月以降停止していた通商協議を再開することで合意した。米国は第4弾の対中追加関税の発動をとりあえず控える。1年近く続く米中貿易戦争ですでに多大な影響を受けている世界経済にとっては朗報となる。

両首脳は20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)の合間に80分間にわたり会談。トランプ大統領は、「われわれは軌道に戻った」と述べた。

すでに中国からの輸入品2500億ドル(約27兆円)分に25%の関税を課している米国は、これまで除外してきたスマートフォンやパソコンなども含めた3250億ドル相当を新たに課税対象にする手続きを進めてきた。

トランプ大統領は、すでに発動した制裁関税は維持するものの、事実上、ほぼすべての中国製品に追加関税をかける第4弾の発動は差し控える方針を示した。

サミット閉幕後の会見でトランプ氏は「(今のところ)米国は関税を差し控える一方、中国側は米国産農産物の購入を拡大する」と述べた。ただ、農産物購入の拡大について、詳細は明らかにしなかった。

また「ディールが成立すれば非常に歴史的な出来事になる」と述べたが、「複雑なディール」と称する貿易合意をいつ達成できるか具体的な期限は示さず、合意を急いでいないと述べた。

<ファーウェイ問題に光明>

米国は、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]について、安全保障上の脅威があるとみなし、米政府の許可なく米国企業から部品や技術を購入するのを禁止する「エンティティー・リスト(EL)」に加えた。

トランプ大統領は、ファーウェイをELから除外するか、商務省が数日中に協議する予定だと述べた。

中国はこれを歓迎。中国外務省のG20担当特使の王小龍氏は「米国がその通り実行するなら、もちろんわれわれは歓迎する」と述べた。

米半導体業界団体も「われわれは、米中協議が再開し、新たな関税発動が棚上げとなったことは心強い。トランプ大統領のファーウェイに関する発言について詳細な情報を得るのを楽しみにしている」とする声明を発表した。

<安堵と疑念>

中国外務省の声明によると、習国家主席は会談で、中国企業を公平に扱うよう要請。国家主権や尊厳の問題として中国は中核的利益を守らなければならないと述べた。

「中国は米国との交渉継続に真摯な姿勢だ。しかし交渉は対等で互いに敬意を示すべきだ」と習氏はトランプ氏に語ったという。

週明けの金融市場は、米中の協議再開を好感するとみられる。

米中ビジネス協議会(USCBC)の中国担当バイスプレジデント、ジェイコブ・パーカー氏は「協議再開は財界にとって朗報で、徐々に悪化する関係に関し、幾分視界が開ける」と述べた。

その上で米中は今後、コンセンサス作りという厳しい課題に取り組むことになるが、米中は、双方の首脳のコミットメントにより事態打開に向けた持続的な道筋を歩むとの見方を示した。

だが、米中の「休戦」が長くは続かないとの見方もある。

キャピタル・エコノミクスは「今週末に休戦が実現したとしても、その後の協議で再び決裂して対立が激化する可能性は依然ある」と指摘した。

  • 1/1

今、あなたにオススメ

今、あなたにオススメ