最新記事

軍事

【写真特集】ドローン大国イスラエルの非情な開発現場

2016年6月20日(月)16時40分
Photographs by Vittoria Mentasti & Daniel Tepper

ガザとの境界線近くで偵察用小型ドローンの飛行実演を行うイスラエル軍の兵士

<世界で売買されるドローンの60%を製造するイスラエル。パレスチナへの軍事作戦で「証明」された製品の性能と信頼性を売りにしている>

 今や、世界中の空をわが物顔で飛び回るドローン(無人機)。80以上の国が何らかの形でドローンを運用し、この技術は今後10年間で現在の2倍に当たる900億ドル規模の産業に成長するとみられている。

 9・11テロ後にこの産業を牽引してきたアメリカを抜き、世界最大のドローン輸出国となっているのがイスラエルだ。情報収集の任務や戦場での兵器として使用されるドローン技術のパイオニアでもある。

【参考記】電気自動車からドローンまで「次のIT」を支えるあの電池

 1985年以降、世界で売買されたドローンの60%はイスラエル製。05~12年で同国のドローンメーカーは46億ドルを輸出で稼ぎ出したという。

 イスラエルのこうした現状については、パレスチナ住民の命を犠牲にして利益を得ていると非難されることも多い。飛行試験として、パレスチナ自治区ガザで製品の実戦能力を試してきたからだ。14年夏の大規模な衝突では、イスラエル国防軍はガザの上空や地下トンネル内で、開発中のドローンを作戦に使用した。

 こうした「実戦」で製品の性能と信頼性が証明され、それが国外のクライアント向けの売りとなっている。


ppdrone02.jpg

決められたルートに沿った飛行と動く標的の特定・追跡を自動で行うドローン「オービター」


ppdrone03.jpg

中部の都市ヤブネにあるドローンの機体部品を製造する工場。新型ドローンの機体は主に複合材料で構成されている


ppdrone04.jpg

ベングリオン空港の近くにある国営軍需企業イスラエル・エアロスペース(IAI)の工場で、ドイツの空軍向けに製造されているドローン

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

「私のこともよく認識」と高市首相、トランプ大統領と

ワールド

米中閣僚級協議、初日終了 米財務省報道官「非常に建

ワールド

対カナダ関税10%引き上げ、トランプ氏 「虚偽」広

ビジネス

アングル:自動車業界がレアアース確保に躍起、中国の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 3
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任務戦闘艦を進水 
  • 4
    「信じられない...」レストランで泣いている女性の元…
  • 5
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 6
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 7
    メーガン妃の「お尻」に手を伸ばすヘンリー王子、注…
  • 8
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月2…
  • 9
    為替は先が読みにくい?「ドル以外」に目を向けると…
  • 10
    アメリカの現状に「重なりすぎて怖い」...映画『ワン…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 3
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 4
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 5
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 6
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦…
  • 9
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 10
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中