
ポートランドが映す「これからのアメリカ」──ローカルが示す新しい生き方のヒント
【大統領選・米国レポート】白人貧困層のリアル『ヒルビリー・エレジー』が映し出す、日本社会との意外な接点とは?
トランプ氏が副大統領候補に選んだヴァンス氏 Photo | shutterstock トランプの狙いはここに!最年少副大統領と『ヒルビリー・エレジー』の深層
トランプ氏がヴァンス氏を副大統領候補に選んだ理由のひとつ。それは『わずか39歳という若さ』。
もしトランプ氏が当選すれば、自動的に1857年以来の最年少副大統領の誕生となります。この話題は、「もしハリス氏が大統領になれば、初の女性大統領誕生!」という声とともに、アメリカ中で語られます。
さらに、トランプ氏がヴァンス氏を選んだもう一つの理由。それは、『極貧の生い立ちと労働者層からの圧倒的な支持』。
その象徴となるのが、ベストセラー回顧録。その内容はNetflixでも映画化され、劣悪な家庭環境から有名大学へと進み、そこから上り詰めていく。まさにアメリカンドリームを体現する道のりが描かれています。
しかし、映画については「書籍に描かれたリアルに比べて、映像が美化されすぎている」「ヒルビリーの現実はもっと過酷で厳しい」といった声も。
その回顧録『ヒルビリー・エレジー~アメリカの繁栄から取り残された白人たち~』は、ヴァンス氏が副大統領候補に選ばれたことで、再び国際的な注目を浴びています。日米のAmazonでは一時売り切れ状態が続き、入荷待ちとなるほどの人気です。
ちなみに、ヒルビリーという言葉は、『極貧生活から抜け出せない、白人低層労働者の嘆きと叫び』を象徴しています。
ヴァンス氏が握る、激戦州の白人労働者の一票。それこそが、トランプが秘めた深遠な意図なのです。
では、このアメリカンドリームの体現者は、どのようにして厳しい生い立ちから米国政治の最高レベルへと上り詰めたのでしょうか?
アメリカの影に沈む、白人貧困層の叫びと現実
「貧困は代々、その家族をがんじがらめに縛りつけ、逃れられない呪いのようなものだ。奴隷時代の先祖は日雇い労働者、次の世代は小作人、その後も炭鉱夫、機械工、工場作業員。底辺の職、最低賃金(以下)の職にしかつけない。職にありつけるだけ、まだましな方。彼らは長年、アメリカの繁栄から見捨てられた『ホワイト・トラッシュ=無学の白人ゴミ』なんだ!」
ヴァンス氏自身は、生まれ育った地域と人々について苦い思い出として回想します。
かつて、中西部の至る所にあったMade in USAの工場。しかし、時代の流れとともに安価な海外生産国へと次々に移転していきました。
工場が消え、地域はゴーストタウンと化し。正社員としての安定した職など、今や夢のまた夢です。
他の都市に逃げ出したくても、学も金も無い。日々の食事すらままならない絶望的な貧困。
明日への希望などとうに失われ、どうやってこんな暮らしから抜け出せるのか、考える余裕さえ奪われています。
これが、中西部のサビついた地帯に深く刻まれた『代々続く、白人貧困層・低所得労働者層の絶望と嘆き』なのです。
現在、米国で謳われているDEI(多様性・公正性・包括性)。それを享受しているのは、都市部に住むリベラルな民主党支持者たち。特に黒人、アジア人、ヒスパニックやマイノリティーが中心です。
この現代の風潮は、白人地方貧困層をさらに絶望の淵へと追い詰め、社会から孤立させています。
「学もなく、声を上げる手段も持たない心の叫びを、シンプルな言葉で代弁してくれた唯一の存在。それがトランプ氏なんだ!」とヴァンス氏は熱く語ります。
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- 山本彌生
ポートランド在住。グローバル・プランニング会社 PDX COORDINATOR代表。東京都出身。米国留学後、外資系証券会社とコンサルティング会社を経てNYと東京でNPOを設立。2002年に現社を起業し、オレゴン州より優秀起業社として認定される。日米の ビジネス・行政・学術・メディア・通訳 の『5分野を循環させる独自モデル』を構築。目的に応じたスタディ視察、カスタマイズ・プログラム、レクチャー等を多様な方々に向けて提供している。神戸学院大学客員教授。オレゴン州行政機関において、複数の役職を務めている。
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協働著作『プレイス・ブランディング』(有斐閣)























































