先月末に今年初めての熱波が発生したスペイン。６月に熱波が発生することは昔はとても稀な現象だったようですが、近年では当たり前になりつつあるようです。この熱波で農業従事者２人を含む計１１人が熱中症などで亡くなったというデータがあるほど、内陸部から南部にかけて厳しい暑さの日が続きました。７月にはいり暑さが落ち着いたのも束の間、今週から今年２回目の熱波がスペインを襲っています。

高温警報発令！各地で厳しい暑さ続く

スペイン気象局は９日、北アフリカで発生した熱波がスペインに上陸するとして市民に注意を呼びかけました。高温警報が発表された地域は主にスペインの内陸部から南部地方で、南部の一部地域では気温が44度に達する見込みです。1920年以降スペインで記録した歴代最高気温は、2017年7月13日にコルドバ空港で観測した46.9度。今回の熱波がこの気温に達することはないと考えられていますが、アンダルシア州のグァダルキビル周辺では45度を超える可能性もあるということで日射病や熱中症などには十分注意する必要がありそうです。この熱波は木曜日まで続くと予想されており、暑さが厳しい地域では公共プールを深夜まで営業したり、首都マドリードでは水飲み場(水栓柱)の場所がひと目でわかる地図アプリを公開するなど、行政は熱中症対策に努めています。

La segunda ola de calor del verano podría dejar temperaturas extremas de hasta 49 ºC https://t.co/rSQRmawMlr

-- 20minutos.es (@20m) July 4, 2023

水難事故多発

現在スペインはバケーションシーズン。夏は多くの国民が1ヶ月近い休みをとって旅行に出かけます。太陽の国スペインの国民が好む旅行先はなんと言ってもジリジリとした日差しが肌を焼くビーチリゾート。スペイン南部のビーチにはすでに連日多くの人が押しかけ海水浴を楽しんでいるようです。

さて、海水浴につきものなのが水難事故。この週末は特にビーチやプールでの死者が多発し、「黒い週末」として各地で報道されました。水難事故による死者はこの週末だけで最低でも10人とされており、その中には４歳と８歳の子供も含まれています。夏には多くの観光客がリゾート地に訪れるスペインでは毎年この時期になると同様の事故が多数発生しており、去年の夏は約400人が水難事故で命を落としました。

実はあまり暑くないスペイン？

日本でも猛暑の報道がされているスペイン。先日目にしたニュース番組ではレポーターが太陽の日差しで熱されたフライパンで目玉焼きを作り、その暑さを伝えていました。そんな話をすれば、さぞかし厳しい夏を過ごしているのかと思われるかもしれませんが、個人的には日本の夏よりもはるかに過ごしやすいと感じています。

例えば私が住んでいる街は今日、この熱波の影響で39度を記録していましたが、私はエアコンをつけることも汗をかくこともなく１日を過ごしました。というのもスペイン(特に内陸部)の夏は乾燥しており湿度が20％をきることも珍しくなく、日本のように湿度が80％を超えジメジメして息苦しいということがこちらでは全くないのです。確かに外に出れば上からは強い日差しが降り注ぎ、下からは太陽で温められたコンクリートの熱が上がってきて、まるでオーブンの中にいるのではないかと思うほど暑いのですが、家に閉じこもっていればそこまで息苦しさは感じません。しかしこのように家の中で快適に過ごすにはちょっとしたコツがあります。それは窓を締め切り、シャッターを全て下ろしてしまうということ。外からの暑い日差しと熱を持った風を完全にシャットダウンすることで、家の中の温度が上昇するのを防ぐのです。日本のように空気全体が生ぬるく湿気を帯びておらずカラッとしているため、これだけでかなりの変化を感じることができます。また夏は夜１０時近くまで明るいスペインでは夕方ごろが暑さのピークとなるため、午前中に外に出る用事を済ませてしまうのもポイント。それでも暑さに弱い(?)スペイン人たちは文句を言いますが、日本のジメジメした夏に慣れてしまっている私にとって、スペインのカラッとした３９度は日本のジメジメした２８度よりもずっと過ごしやすいと思うのです。とは言っても夏はこれからが本番。あまり調子に乗っていると、いくらカラッとしたスペインでも耐えられない暑さに襲われる日がくるのかもしれません。気を引き締めて今年の夏も乗り切りたいと思います。