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England Swings!

ラッシャー貴子|イギリス

運転免許の更新にまつわる日英のいろいろ

昭和の教習所の教官が怖かったせいなのか、日本にいた頃から免許更新に出かける時は何となく緊張していた。でも最近のお役所の方たちってほんとに丁寧で親切ですよね。今回、視力検査がギリギリですと指摘されて、「あ、えっと、メガネ作り直そうかな……」とうろたえると、ちょっとコワモテの係の方が「お疲れだと視力も低下しますからね」と慰めてくれた。やさしい。写真Shutterstock_evgenii mitroshin

 日本への一時帰国から戻ってきた。家族や友人と再会したり、日本の美味しいものを食べたりするのは命の洗濯だ。同時に、済ませなければならない用事もなんだかんだと多く、時間はあっという間に過ぎ去って、毎回やり残すことが出る。けれどもこの18年の間に、里帰りの時間はどんなにあっても足りないものと思い知ったので、「また次ね」と自分に言い聞かせて飛行機に乗る。ロンドン生活も楽しいし。

 今回の里帰りミッションのひとつに、運転免許の更新があった。パスポートは在英日本大使館で新しいものを発行してもらえるけれど、日本の運転免許は日本でなければ書き換えられないのだ。

 英国に移り住んだ時、わたしは日本の運転免許を持っていた。英国に長く滞在する日本人が英国の免許を取るのはとても簡単だ。有効な日本の免許さえあれば(そして住み始めて5年以内なら)、筆記や実技の試験を受けず、書類申請だけで英国の免許に切り替えることができる。英国の制度で一から取り直すことももちろんできるけれど、書類で済めば手間がずっと少ない(その後、いきなり道を走るのは怖いからと運転のレッスンを受ける人は多い)。ちなみに住み始めて1年以内であれば、日本の免許証だけで英国内を運転することもできる。

 これは、英国が日本と同じ左側走行だからかと思っていたけれど、ちょっと気になって調べてみたらそうでもないようだ。日本でも、英国はじめ29か国等(対象が「国」だけではないため)の免許を持つ人には試験を一部免除して運転免許証が発行されいて、その国等の中には、右側走行のフランス、ドイツ、アメリカも含まれている。州ごとに独自の法律や規則を持つアメリカに関しては、州によって免除の範囲も異なる。どの国や州の間で運転免許が簡単に切り替えられるかは、道のどちら側を走るかではなく、「免許の水準が同等であること」が考慮されるらしい。

 話を英国で日本の免許を切り替えることに戻すと、書類だけで申請する時には、日本の運転免許の原本を英国当局に提出する必要がある(写しで済む場合もあり)。この免許を持ち主に戻す義務は当局にはないものの、在英日本大使館ではできるだけ返却するよう要請しているそうで、わたしの知る限り、日本の免許はたいてい手元に戻ってくる。というわけで、わたしもほぼペーパードライバーながら日英2つの運転免許を持っている。

Profile

著者プロフィール
ラッシャー貴子

ロンドン在住15年目の英語翻訳者、英国旅行ライター。共訳書『ウェブスター辞書あるいは英語をめぐる冒険』、訳書『Why on Earth アイスランド縦断記』、翻訳協力『アメリカの大学生が学んでいる伝え方の教科書』、『英語はもっとイディオムで話そう』など。違う文化や人の暮らしに興味あり。世界中から人が集まるコスモポリタンなロンドンの風景や出会った人たち、英国らしさ、日本人として考えることなどを綴ります。

ブログ:ロンドン 2人暮らし

Twitter:@lonlonsmile

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