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平野美紀|オーストラリア

オーストラリアは2025年までに機能上完全キャッシュレス社会となる予想

オーストラリアでは、スマホやクレジットカードによるタップ決済が主流。(Credit:Julia Gomina-iStock)

日本に一時帰国して一番困るのが、お金=現金をどうするか?ということ。日本円を持っていない状態で日本に降り立ち、いざ、移動しようと電車の切符を買おうとしても、現金しか受け付けない券売機が立ちはだかる。お腹が空いてその辺の小さな定食屋に飛び込んだら、支払いは「現金のみ」と言われ、足りるかどうかハラハラしながら、お財布の中を覗き込むはめになる・・・などなど...。

空港で両替すればいいじゃん!?と言われるかもしれないが、イチイチ両替するのも面倒だし、日本人なのに外貨で日本円を買うなんて、なんだかバカバカしい気もしてしまう。なにせ普段、お財布には20豪ドル(だいたい2,000円弱)くらいしか入っていない。すべての支払いはクレジットカード、もしくは、Apple Pay等でしているから、ATMで現金をおろさなければならないような事態になることもなく、銀行のピンコードも忘れてしまいそうなほどだ。

日本も昔に比べたら、すいぶんクレジットカードが使えるようになったけれど、それでも、「現金特価」を謳う店や宿も多くみかけ、まだまだ「現金社会」だなぁと感じる。

オーストラリアは既にほぼキャッシュレス社会

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地方の小さな町のカフェでもクレジットカードのタップ決済が可能。(Credit:pixdeluxe-iStock)

オーストラリアでは普段、現金が必要な場面に遭遇することはほとんどない。それはシドニーのような都市部だからでは?と思うかもしれないが、かなり田舎の町に行っても、ほぼどこでもクレジットカードが使える。ただし、利用できるクレジットカードは、基本的に「VISA」か「Master」が大半で、これ以外のクレジットカードはシステム上、受け付けられなかったり、手数料がかかるところもあるので注意が必要だ。

ほぼどこでもクレジットカードが使えるオーストラリアだが、都市部でも僅かながら「現金のみ」という個人経営の小さなショップやレストランが、まだ存在していることも事実。とはいえ、こうした現金商売の個人経営店は、年を追うごとに減少傾向にあり、とくにここ数年でキャッシュレス決済システムの導入が急速に進んでいるようで、最近では現金商売のみの店に当たることはほとんどなくなった。

銀行が現金の取り扱いを停止、完全キャッシュレスに?

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オーダーするとすぐに支払いが生じるパブやバーでも、カウンターでスマホやクレジットカードでタップ決済。(Credit:xavierarnau-iStock)

実生活でも急速に「キャッシュレス化」が進んでいると感じるオーストラリア。あと10年もすれば物理的なお金は完全になくなると予測する専門家もいる。

ニューサウスウェールズ大学のリチャード・ホールデン教授(経済学)は、「(オーストラリアは)2025年末までに機能上はほぼ完全にキャッシュレス化されるだろう」という。年次世界決済報告書によると、2025年には全てのPOSシステムによる取引に占める現金の割合はわずか 2%程度まで低下すると予想されているそうだ。

実際のところ、オーストラリア銀行協会が分析したデータによれば、ATMでの現金引き出しは、2021年8月までの1年間で20%減少。オーストラリア準備銀行の統計でも、豪国内における取引の大部分は既に、現金ではなく電子決済に移行していることが明らかだという。

ほとんどの人が現金を持ち歩かず、キャッシュレス決済へ移行しつつあることで、支出のコントロールが難しくなると警鐘を鳴らすニュース報道。(9 News Australia 公式 YouTubeより)

また、オーストラリア行動分析協会のデータによると、オーストラリア人の 10 人に 1 人は、定期的に財布を持たずに外出し、3 人に 1 人以上が、少なくとも毎週のようにスマートフォンのデジタルウォレットを使用していることがわかるそうだ。

こうした人々の行動パターンの変化は、新型コロナウイルスのパンデミックの影響もあって加速しており、オーストラリアの主要銀行は、一部の支店における現金の取り扱い停止を発表するところが増えている。(参照1, 2

手元のお財布にいくら入っているのかいちいち気にしなくていいのは、たしかに便利だが、タップするだけで手軽に支払いできてしまうため、支出のコントロールが難しくなり、使い過ぎによる困窮なども懸念されている。

急速なキャッシュレス化が経済にどのような影響を与えるのか... 賛否両論あるなか、私的な日々の暮らしからも、オーストラリアは「完全キャッシュレス社会」に向かってまっしぐらに進んでいるように感じるのは確かだ。〈了〉

 

Profile

著者プロフィール
平野美紀

6年半暮らしたロンドンからシドニーへ移住。在英時代より雑誌への執筆を開始し、渡豪後は旅行を中心にジャーナリスト/ライターとして各種メディアへの執筆及びラジオやテレビへレポート出演する傍ら、情報サイト「オーストラリア NOW!」 の運営や取材撮影メディアコーディネーターもこなす。豪野生動物関連資格保有。在豪23年目。

Twitter:@mikihirano

個人ブログ On Time:http://tabimag.com/blog/

メディアコーディネーター・ブログ:https://waveplanning.net/category/blog/

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