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NYで生きる!ワーキングマザーの視点

ベイリー弘恵|アメリカ

米アメフト女子プロ日本人選手のメンタリティー

©Betty Hiroko Suzuki

ベティの愛称で女子アメリカン・プロ・フットボール選手として全米で知られている鈴木弘子さん。2000年から渡米し、長年にわたり現役で活躍してきた。今回、スポーツに関してではなく、主にプライベートな暮らしぶりやメンタルな面を中心にインタビューさせていただいた。

──どういったメンタリティーが渡米を決めさせたのですか?

もともと日本でジムのインストラクターとして働いていて、30歳で社会人のクラブチームにてアメフトを始めました。女子のアメリカンフットボールのプロリーグがアメリカにできたと聞き、トライアウト(入団テスト)を受けてみたら受かってしまい、、、子供の頃からの夢というより、なんとなく流されてアメリカにたどり着いたって感じがしています。

トライアウトに合格し帰国すると、成田空港にはすでに通信社の人が来ていて。翌日には、大手新聞社の一面にも紹介されました。まだ入団を決めていたわけではなかったのですが、そんなことお構いなしで次々に取材が入って。『今シーズンの目標は?』などと聞かれ、『優勝することです、オールスターに選ばれることです』って言うしかない状況でした。

FemaleNFL2.JPG©Betty Hiroko Suzuki

一年目は、英語がまったくわからず苦労しました。海外旅行に行った時は、たしかに通じた私の英語だったのですが、よく考えたら、レストランでオーダーするとか、ショッピングで洋服の色やサイズ選びくらいで限られてますし、相手も観光客相手に慣れていますから、通じてたんですよね。

チームメイトから、What's upって言われて、このWから始まる質問文はなに? YES/NOクエスチョンで聞いてくれ〜ってレベルでした。英語なのかどうかすらわからないこともありました。アリゾナ州にいたとき、週に4回語学学校へ通ってたのですが、ラテン系とか中国系のアクセントがあるクラスメートの英語となると、まったく聞き取れないんです。今まで交わることもなかったですから。先生がアメフトのファンだったこともあって、アメフトの話は英語でもスラスラできるので、先生とばかり話をしていました。

だけど、クラスメートの英語は聞き取れないので無視してるみたいになってしまってて。課外授業で、フットボールやバスケットボールの試合に行く時も、いつも私だけ良い席へ入れてもらって観戦してましたし。きっとクラスメートからは、イヤな奴って思われていたでしょうね。

──アメフトを続けるにあたって士気を高めるためにやったこととかありますか?

30歳になって日本でアメフトをはじめて、35歳で思いがけずアメリカでプロ選手になって、54歳まで続けました。その間、大きなケガをすることもなかったので、運がよかったとしか言えません。ただ一つ言えることは、何かを始めるのに遅いということはないってことです。

私は子供のころから、なんでもできるほうでした。だから、このまま器用貧乏で、人生が終わるのかって思ってたのですが、アメフトがはまって成功しました。自分でさえ20年も続けるとは、思わなかったです。

1年目はフロリダのデイトナビーチ・バラクーダスに来た時は、メディアで騒がれたわりには、気負いもなく、アメフトで活躍するか英語かサーフィンができるようになって帰ればいいやと思っていましたが、初年度からオールスターに選ばれました。そのオールスター戦終了後、私の前には、来季のスカウトにやってきたチームオーナーや監督の列ができるほどで、その時初めて、もっとやりたいと真剣に思いました。

2年目は、『優勝するチームに行きたい』というのが目標でした。アメフトはオーナーがヘッドコーチを選び、ヘッドコーチがコーチ陣やプレーを含む作戦を決めて、トライアウトで選ばれた選手でチームを作って、2〜3年かけて優勝を目指します。二年目に所属したアリゾナ・カリエンテでは2年目に準優勝しましたが、優勝には至りませんでした。そうなるとまた1からチームの作り直しです。

フィラデルフィアにいたときには、NYまで車でよく遊びに行ってましたね。その後ロングビーチに移籍しましたが、カリフォルニアはめっちゃ居心地がよかった。当時は、引っ越しも身軽で、『紙袋引っ越し』って周りから呼ばれてて、トレジョ(アメリカーのグロッサリースーパー、トレーダー・ジョーズの略称)の紙袋に荷物を入れて、引っ越ししてました。半年日本、半年アメリカで生活してましたが、その時が一番楽しかった気がします。

次回につづきます

【関連リンク】
ベティ鈴木オフィシャルサイト

 

Profile

著者プロフィール
ベイリー弘恵

NY移住後にITの仕事につきアメリカ永住権を取得。趣味として始めたホームページ「ハーレム日記」が人気となり出版、ITサポートの仕事を続けながら、ライターとして日本の雑誌や新聞、ウェブほか、メディアにも投稿。NY1page.com LLC代表としてNYで活躍する日本人アーティストをサポートするためのサイトを運営している。

NY在住の日本人エンターテイナーを応援するサイト:NY1page.com

ブログ:NYで生きる!ベイリー弘恵の爆笑コラム

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