アメリカは、ミサイルなどを用いて日本の空と海を防衛する際に日本に支援を求めるかもしれない。日本の領土と戦闘地域の間でアメリカの船舶と航空機の護衛任務を武装した自衛隊に頼むこともあるだろう。つまりアメリカは台湾周辺での戦闘において日本に武力行使を用いた支援を求めることがあり得るのだ。

一方、アメリカが何を求めようと、日本の関与は常に政治的判断となるだろう。日米共同声明に台湾を明記することを菅政権が了承した際、同政権はすなわちそれが、台湾海峡の「平和と安全」が損なわれれば日本が何らかの関与をするという意思表示だと理解していたはずだ。

もし日本が何もしない、もしくは期待外れの支援しかしない場合には、日米同盟が揺るがされるだけでなく、アメリカを中心とした世界の同盟関係そのものに疑問符が付くことになる。

この状況を回避できる前向きな兆候もある。例えば、日本政府は台湾海峡有事の際に自衛隊が取るべき対応について複数のシナリオを検討していると言われる。さらに、4月下旬の日経新聞の世論調査では、台湾海峡の安定に関与することを支持すると答えた人は74%に上った。

日本政府は、武力行使を法的枠組みに基づいて判断する傾向にあり、それによって日本の対応は変わる。もし中国が台湾を攻撃すればアメリカは迅速な関与を模索するだろうが、日本の対応にありがちな、行政上のさまざまなハードルをクリアしていくやり方では刻一刻と変わりゆく作戦展開に付いていけない。

日本の政治決断がアメリカのスピードに付いていくには、日本は今のうちから有事に際してアメリカが何を要請してくるかを知る必要がある。日米が台湾海峡の平和と安定への支援を表明した今、両国は有言実行のための現実的なプランを練るべきだ。

日経の4月26日付の論説記事が書いたように、戦後の防衛を全面的に米軍に頼ってきた日本にとって、米中の板挟みになりたくないという考え自体が間違っている。「中立はあり得ない」のだ。

From Foreign Policy Magazine

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