あなたは自分の勤めている会社を友人に勧めますか?それとも止めた方がいいとアドバイス?
就活と言えば、最初に頭に浮かぶのは「給料、上司、同僚、職場の雰囲気」ではないだろうか。だが、そこに勤務している人達の声を聞き、職場環境の様子を知ることが一番の近道かもしれない。それにより、自分の求める働きやすい会社を判断することも可能だろう。
独雑誌「Stern」 と市場調査Statista による、雇用主に関する大規模な調査結果「2022年ドイツのベスト雇用主650社」最新版が発表された。これによると、業界別と総合の2部門ランキングを詳しく紹介している。ここでは総合ランキングベスト50社のうち、トップ10に焦点を当ててみたい。
2位はアディダス、1位は?
早速、社員の満足度の高い企業総合トップ10を紹介しよう。
1.Ferrero Deutschland フェレロ ドイツ
2.Adidas アディダス
3.Lindt &Sprüngli Deutschland リンツ&シュプルングリー(通称リンツ) ドイツ
4.DLR Deutsches Zentrum für Luft-und Raumfahrt ドイツ航空宇宙センター
5.Audi アウディ
6.Frauenhofer-Gesellschaft フラウンホーファー研究機構
7.Porsche ポルシェ
8.BASF ビーエーエスエフ (世界最大の総合化学メーカー)
9.BMW ビーエムダブリュー
10 .MTU Aero Engines エアロ・エンジンズ (航空宇宙、防衛)
1位はイタリアに本拠を構えるフェレロ社・ドイツだった。同社は、国際的な菓子製品グループとしてチョコレート「キンダーショコラ―デ」や「モンシェリー」、そしてナッツクリーム「ヌテラ」で知られる。前年調査の総合ランキング19位から1位に浮上した。
2位は、スポーツ用品メーカーのアディダス。また、前回1位に輝いたチョコレートメーカー「リンツ」ドイツ社は3位だった。4位ドイツ航空宇宙センター、6位フラウンホーファー研究機構と、トップ10に2つの公的研究機関も名を連ねている。
社員の勧める企業として、アウディ(5位)、ポルシェ(7位)、BMW(9位)など自動車メーカーも常時トップ10入りする雇用主だ。
とはいえ、今回40位のダイムラー(前回3位・現メルセデス‐ベンツグループ)、44位のフォルクスワーゲン(前回29位)は、排ガス不正事件の影響を受けたのだろうか、社員の満足度下落が顕著だった。
一方で、コロナ禍により大規模な人員削減を発表しているにも関わらず、航空機産業(10位エアロ・エンジンズ、14位エアバス)や観光業(38位ラディソン・ホテル観光)など多くの雇用主が良い評価を受けているのは意外だった。
また、ワクチン製造に携わる医薬品企業の評価が大きく改善された。
16位 IDT Biologikaビオロギカ、17位 Pfizerファイザー、18位 Sartoriusザルトリウスと、前回の調査結果では3社ともトップ50にも入っていなかった企業。今調査の結果はコロナ禍時代の潮流を大きく反映している。
仕事上の信頼と尊敬が重要なカギ
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1位に躍り出たフェレロ社では、「強力なブランドのカリスマ性とファミリービジネスの信頼性」という、2つの成功要因が明らかに共存している。
同社は全世界で3万5千人以上の従業員を擁し、そのうち約5千人がドイツ法人に勤務している。従業員の大半は、独中部のマールブルグ近郊アレンドルフにある生産拠点で働いている。
フェレロは、「ファミリービジネスとして、相互の信頼、尊敬に満ちた交流、良好な結束は、社員への対応において非常に重要である」と述べ、「わが社の要は従業員。彼らが働きやすい環境に満足すれば、企業向上・生産性向上という付加価値向上に繋がる」という。
なかでも「上司は、仕事上でも人間としても信頼そして尊敬できる」ことは、企業と従業員双方にとって大きなメリットとなりそうだ。
価値観の変化は仕事の満足度にどう影響?
この調査にあたりStatista代表取締役CEOフリードリッヒ・シュヴァント氏は、「今日、多くの社員が自分の仕事にもっと大きな意味を求めている。コロナの大流行は、ドイツの企業に大きな経済的課題だけでなく、雇用主としての新たな課題を突き付けた」と語る。
そこでコロナ禍という先の見えない異常なこの時期、Sternの協力による大規模な調査で、「価値観の変化が仕事の満足度にどのように影響するか」を探った。
ドイツ国内にある従業員500人以上のすべての企業を対象とし、事前にStatistaが2,600社以上の企業リストを調査。IT・通人分野、製薬業界、医療・福祉分野、自動車産業とそのサプライヤーなど24の部門別に割り当て、それぞれの業界で従業員の募集を行う際の雇用主ブランドを評価した。
調査は5万人以上の従業員を対象に、特設のプロフェッショナルオンラインパネルを通じて、雇用主として推薦できるかどうかを問うた。また、回答者は自分の所属する業種から他企業を選び、その企業を評価することもできた。
データ収集・解析の中立性は常に保証され、計110万件の判定を元にした。なおSternやStatistaを含むメディア業界は、中立性の観点からこの調査には含まれていない。
調査はコロナ第3波と第4波の間、2021年6月24日から8月9日にかけて行われた。つまり、従業員は雇用主のパンデミック管理も含めて評価した訳だ。
評価は0点から100点までのスコアで換算し、達成したスコアによって企業を分類した。上位は82点以上、中位は66,5点、下位は35点だった。一方で、この調査のランキング入りを果たせなかった会社が必ずしも働きにくいというわけではない。
2019年末に新型コロナウィルス感染者が中国で発生してから、職場の環境も大きく変わった。だがそんな時だからこそ、非常時にも従業員の生活を保障する雇用主は、長期的に優秀な従業員・貴重な戦力を維持することができるのだろう。
予期しなかったコロナパンデミックにより、雇用主は従業員にどう対応するかが大きく試されている。