前回に続いてミルテンベルクを拠点とした旅をお伝えします。今回は史跡めぐりです。美食の旅ではグルメ料理に出会い、もう食べられないと言いつつ完食した後悔もあり、2度目の訪問はハイキングや電動アシスト自転車でカロリー消費に努めた旅となりました。(画像はすべて筆者撮影)

出発直前の国鉄ストに騒然!

8月上旬、またやってきました。ドイツ国鉄のストです。運悪くミルテンベルク入りする当日からスト開始となり、どうしたものかと考えた末、1日前倒しで現地入りすることにしました。幸い、ミルテンベルクの隣町ビュルクシュタットに前泊ホテルの部屋を確保でき、慌ててスーツケースに必需品を詰め込み、最寄の駅へ。

駅キオスクで買ったバターブレッツェルを車内でほおばり、16時過ぎにやっと遅いランチにありつけて少し落ち着きを取り戻しました。

ミルテンベルク駅に夕方到着し、そこからタクシーに乗りビュルクシュタットのワインホテル入り。街はずれにあるこのホテルは、部屋の間取りもゆったりしていて快適な時を過ごしました。あわただしかった1日とは対照に静かな周辺にホッと一息。

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ワインホテル兼ワイナリーオーナーのエアハルド・ヘルムシュテッター氏と息子マックスさん

翌朝、お昼のアポイントまでの空き時間にホテル併設のワイナリー・ヘルムシュテッターを見学させていただきました。ビュルクシュタットと言えば、赤ワインの皇帝と称されるフュルストワイナリーで知られますが、ほとんど家族経営の小さなワイナリーばかりです。そのためホテルやレストランを併設し、財政面での安定に努める経営者が多く見られます。このワイナリーも父と息子の共同経営で、4代にわたり醸造を続けています。2億ユーロの資金を工面して、ホテル改築とワイナリー拡大に投資し、現在は客室20室と、ワイナリーではを醸造しています。

アモルバッハの廃墟を訪ねて

昼食後、ミルテンベルクから南へ7㎞程離れた街ヴァイルバッハとアモールバッハの間にあるゴッタルドベルク(標高約300m)のふもとへ。この山頂に佇む旧ベネディクト派修道院跡へ向かいました。

 ゴッタルドの廃墟

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ふもとから歩いて10分ほどすると、ゴッタルドの廃墟が見えてきました

8世紀に建設されたと言われるこの修道院跡は、1525年の農民戦争で瓦礫となり、1631年に再建されたそうですが、1714年に落雷を受けて再び焼失したとか。今や廃墟と化した院内の塔に登り、バイエルンのオーデンヴァルド森林の7つの渓谷の景色を満喫しました。フランケンシュタイン城の痕跡や、12世紀に建てられたゴデハルド・フォン・ヒルデスハイム礼拝堂の壁の跡などが遠くにみえました。

 テンペラーハウス

次の見学地アモルバッハ市内にあるテンプラーハウスまで、歩いて20分ほど。バイエルン州で最古の木組み建造物だそう。建築木材は年輪測定の結果、1291年と推定されており、当時の施工方法からもかなり早い年代から木組みの家は建設されていたようです。

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テンプラーハウス入口にて

現在は、中世末期の建築技術や生活文化、16世紀の室内装飾などを紹介する博物館となっています。

サイクリングで史跡巡り

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翌日はミルテンベルクから北ヘ約8㎞、フロイデンベルクで電動アシスト自転車を借り、いよいよサイクリング全日ツワーの開始です。まずは7㎞先のビュルクシュタットへ向かいました。

▽聖マルティン礼拝堂 ビュルクシュタット

聖マルティン礼拝堂は、フランケン地方でもっとも古い教会の一つです。

10世紀前半に建てられたと言われる礼拝堂は、ほぼ正方形の聖歌隊を持つホール型の建物です。堂内に足を踏み入れると、天井から壁一面に描かれた絵画に圧倒されます。

03germany.jpg聖マルティン礼拝堂内部にて

天国を表しているという絵画は、ニュルンベルクの画家アンドレアス・ヘルナイゼンが描いたものです。東側の壁に画家のイニシャルAHと1589年のサインを残しています。1907年までは、いわゆるセッコウ技法で描かれた聖歌隊の部屋の絵は覆われていました。残念ながら、その後の発掘では、すべてを保存することはできなかったそうです。

ミルテンブルク城跡と 博物館

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城跡中庭にて。博物館は思ったより大きく展示品も多い

ミルテンベルグの小高い丘(27mほど)に聳え立つミルデンブルグ城は、約800年前から街のランドマークとして親しまれています。長い間、外側しか見ることができませんでしたが、大規模な改修工事を経て、2011年7月からは、博物館である「ブルク・ミルテンベルク博物館」の中にも見学者が入れるようになりました。

20世紀から21世紀にかけての作品はすべて、大聖堂のチャプレンであるユルゲン・レンセン博士(ヴュルツブルク)のコレクションであり、レンセン博士は新しい美術館のコンセプトを考案しました。

城の部屋からはフランケン地方の田園風景が一望できます。

クリンゲンブルク城跡

ミルテンベルク市内でランチを済ませ、再びサイクリングです。約12㎞先のワイン生産が盛んな街クリンゲルベルクの観光ハイライト・クリンゲンブルク城跡に向かいました。

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急斜面のブドウ畑とクリンゲンベルクの街並み

クリンゲンブルク城跡は、フランケンの赤ワイン街道沿いにあるクリンゲンブルクの小高い丘(標高約170m)に鎮座しています。1177年頃、皇帝の酌人だったコンラドゥス・コルボによって建てられました。現在はアーチと天守閣の基礎部部しか残っていませんが、素晴らしいパノラマテラスのあるレストランがあります。同店は、オープンエアでのコーヒーとケーキ、またはガストロルームでの騎士の饗宴などを提供しています。

人口6000人程のクリンゲンベルクを一躍有名にしたのは、城跡で開催される夏の野外フェスティバル。1994年から2019年にかけて、プロの演劇やミュージカルを公演し、年間4万人もの来場者が訪れるアトラクションとなったそうです。残念ながら主催者団体の破産で、2019年シーズンを最後に野外劇は終わりを告げました。このクリンゲンブルク音楽祭は、26年間のシーズン中に100万人近い人々を街に呼び寄せることに成功していました。 

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城跡でミュージカルを満喫

「今後、同フェスティバルが再開されるかどうかは不明で、どのように展開していくか考案中です」とクリンゲンベルク市長ラルフ・ライヒワイン氏は述べます。

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上演終了の舞台にて

ところが7月から8月にかけてなんと城跡でミュージカル「女教皇ヨハンナ」が上演されるというではありませんか。このグループは2019年まで上演した主催者とは全く別の団体(マインミュージカル)だそう。市長の好意で最終リハーサルのチケットを入手しました。

マインミュージカルは、本拠地エルレンバッハ(ミルテンベルク郡で一番大きな市)で定期的に上演しているそう。コロナ禍で中止、そして延期となり、2020年上演予定だった「女教皇ヨハンナ」を野外劇場でということで会場となったのがクリンゲンベルク城跡だったそうです。

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ミルテンベルクのシンボル・マイン川にかかる橋とホルステン門

今回巡った史跡や廃墟は、ミルテンベルク周辺に60カ所以上あるほんの一部です。今後も発見の旅を続けたいと思います。