新型コロナウィルス感染のパンデミックで昨年から世界的に旅行の自由が大きく制限され、自宅で旅を夢見る人も多いだろう。空路も長距離列車の旅も、今は思い出に浸り、じっと我慢の日々が続く。

ワクチンの普及は国によって異なるものの、徐々に接種も進んでいる背景から、今年の夏には旅行に出かけることができるかもしれない。筆者も解禁になったら行きたい旅先をリストアップし、今から楽しみにしているひとりだ。

そんな中、「欧州で乗客に優しい鉄道駅」をテーマとした面白い記事を見つけた。

欧州主要駅50カ所で最も優しい駅は?

米国ワシントンDCに本拠を置く消費者保護団体Consumer Choice Center(以下CCC)は3月末、欧州の主要鉄道駅50カ所を対象に行った「欧州鉄道駅インデックス2021年」調査で、快適さと乗客の利便性に最も優れている駅はドイツのライプツィヒ中央駅と発表した。

調査の評価基準は、国内外の就航都市の数、プラットフォームの混雑度、アクセスの良さ、そして車椅子や移動に不自由な客のホームへのアクセス、ラウンジの種類、ショッピングや飲食料品の質などを指標とした。

評価にあたってCCCは、昨年発表した鉄道駅トップランキングの指標にヒントを得て、今年2回目の調査を行った。さらに各駅のウェブサイトの情報やオンライン統計から抽出した情報と、メディアや乗客の声も考慮して選出したという。

1位ライプツィヒに続き、2位ウィーン中央駅(オーストリア)、3位ロンドンのセント・パンクラス駅(イギリス)、4位はアムステルダム中央駅(オランダ)とモスクワのカザン駅(ロシア)が選ばれた。5位に入ったのは、フランクフルト・アム・マインとミュンヘン中央駅(ドイツ)だった。

6位はモスクワ・クルスク駅 (ロシア)、7位ミラノ中央駅(イタリア)、8位バーミンガム・ニューストリート駅(イギリス)、9位ローマ・テルミニ駅(イタリア)、10位パリ・モンパルナス駅(フランス)とボローニャ中央駅(イタリア)だった。

ライプツィヒ中央駅は、欧州でもドイツでも最も訪問者数が多い駅ではない。それでも欧州のトップに選ばれた理由とはいったい何だろう。

ライプツィヒ中央駅が乗客に優しい理由 

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この調査の最高得点は133点で、ライプツィヒ中央駅は116点を獲得した。毎日約12万人の旅行者や観光客が訪れ、ドイツ鉄道の長距離駅の中で13番目に利用者の多い駅だ。23本のホーム線路のうち、22本が旅客輸送に使用されている。

大きな特徴は、欧州最大の頭端式(とうたんしき)プラットフォームを有する駅という点だ。頭端式とは、線路が行き止まりになり、到着列車は逆向きに発車する構造の駅で、欧州ではよく目にする。ドイツに限って言えば、5位のフランクフルト・アム・マイン中央駅とミュンヘン中央駅も頭端式が用いられている。

そして国内では最も多くの目的地にアクセスでき、駅ビル型商業スペースには店舗やレストランも充実している。地下1階から地上2階に展開する店舗は、ファッション、化粧品、書籍、生活雑貨やスーパーなど約140店が軒を連ねているので、長時間滞在しても全く飽きることはない。

またドイツでは閉店法という法律があるため、通常日曜日や祝日は閉店せねばならないが、構内の店舗は例外。午後だけ開いている店も多数あるので、お土産や買い忘れた生活用品を入手するのに便利。24時間営業や無休のコンビニがないドイツでは、旅人だけでなく一般市民もよく利用する大変ありがたいサービスだ。

さらにこの中央駅には複数の鉄道会社が乗り入れており、利便性も突出した人気の秘密だ。ただ一つだけ難点をあげると、中央駅からライプツィヒ空港まで電車で出向いても、そこから海外への直行便がない点だった。

1915年に開業されたライプツィヒ中央駅は、100年以上の歴史を有する大変重厚な造り。駅舎正面の横幅は約300メートル、構内の天井の高さは27メートルという巨大サイズ。床面積は83,640平方メートルで、東京ドームの2倍近くある。しかしCCCは「駅の大きさは、必ずしも利便性やインフラの充実を意味するものではない 」と解説する。

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© PK Fotografie. ライプツィヒ中央駅全景

ちなみにドイツの主要鉄道駅でトップ20に入ったのは、12位デュッセルドルフ、ハノーバー、シュトゥットガルト、14位ハンブルク、15位ニュルンベルク、16位ドルトムント、19位エッセン、ブレーメンだった。

長引くコロナ禍で各国の対応は様々だが、現在ドイツでは駅構内の店舗は予約制で入店、あるいは商品を事前注文して指定時間にピックアップ、または飲食店ではテイクアウトを提供する店が多い。

次回の訪独で、今回紹介した鉄道駅を利用する機会があるかもしれない。時間があれば構内を散策して快適な時間を過ごし、現地でしか体感できない駅の思い出も持ち帰ってほしい。

画像提供: Leipzig Tourismus und Marketing GmbH