雨氷のため大規模な路面凍結が発生し人がツルツル滑っている映像がTwitter上でバズり続けているキエフよりウクライナのクリスマスについての記事をお届けします。下記参照:
動画:ツルツルで歩けない!ウクライナ首都で大規模な路面凍結 pic.twitter.com/MC8GoOt3It
-- ロイター (@ReutersJapan) December 14, 2020
ウクライナのクリスマスは世界でも希有です。なぜならウクライナには年に2度クリスマスがあるからです。どうしてこんなことになったのでしょう?理由のひとつは2018年12月15日に発足した「ウクライナ独立正教会」にあります。
ソ連時代にモスクワ総主教庁を本部とする「ロシア正教会」のもと、ソ連成立以前に成立していたウクライナ独立正教会は厳しく弾圧を受けロシア正教会へと統合されます。ソ連崩壊後のウクライナ独立後もウクライナではロシア正教会が実質国教となっていましたが2014年のロシアのクリミア併合、東部のドネツク、ルハンツク侵攻などで独立の動きが出てきました。そして2019年1月5日にコンスタンティノープル総主教庁においてウクライナ独立正教会の地位を確認するトモスが署名されコンスタンチノープル総主教のバルトロメオ1世がエピファニウス1世のキエフ府主教としての地位を正式に認めました。
↓キエフ総主教エピファニウス1世との謁見時のスナップ(2019年撮影)

ロシア正教会のクリスマスはユリウス暦を採用しているため、1月7日に祝うのが定番ですが世界のほとんどの地域のクリスマスは現在の西暦、グレゴリオ暦の12月25日です。キリスト教徒が少ない日本でもクリスマスイブは12月24日、25日にクリスマスという認識が一般化しています。新生ウクライナ独立正教会では「現状は1月7日にクリスマスを祝っても良いが、将来的にカトリックと同じく12月25日にクリスマスを祝うことに関する議論を始めるべきだ」としています。しかしウクライナには過去何十年も1月7日にクリスマスを祝ってきた伝統がある為、そう簡単には変えられないのです。よって「移行期間」としての意味合いもあり現状2つのクリスマスを祝うことにしているのです。実はウクライナが12月25日にクリスマスを祝い始めたのは2017年頃だそうで、ウクライナの国家としての「ロシアとの離反」「EUとの接近」を象徴した政治的な要素も関係していると言われています。
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ともあれ、ウクライナ人は日本人が俗に言う「盆と正月が一緒に来たよう」な雰囲気を12月25日から1月7日までの約2週間楽しんでいます。日本では大晦日と新年三が日が親戚家族と一緒に過ごす期間とされていますが、欧米ではクリスマスは親戚家族と大晦日・新年が友達、恋人等と盛大にカウントダウンしてパーティしながら過ごす祝日のような位置づけとなっており、日本と真逆です。ウクライナでは2つのクリスマスを親戚家族と過ごし、その間の大晦日と新年を親しい友人たちと祝うのでこの間の約二週間はほぼ仕事が回りません(苦笑)。
今年はコロナ禍が全世界的に多大な負の影響を与えましたがここウクライナでも3月から6月まで完全な都市封鎖、国境封鎖、検疫措置(ロックダウン)による薬局、病院、スーパー以外のすべての店を閉店にする措置が取られました。しかし12月現在でも一日あたり13000人もの新規コロナウイルス感染者が出ており、部分的な検疫措置の継続を余儀なくされています。先日ウクライナ政府は来年の1月8日より1月24日まで今年の3月にとったような完全なる検疫措置の実施(都市封鎖と国境封鎖はなし)を決定しました。これを聞いた私は「なぜ1月7日のクリスマス後にこれを実施するんだろう・・・?」と疑問に思いました。クリスマス休暇中に人出が多くなりそれだけ多くの感染者が発生する危険があるからです。しかしこのコロナ禍でウクライナの人々の間で鬱憤がかなり溜まっており、レストランなどの事業者のデモも開催されるなど政府からの十分な補償のない小規模事業者にとってこの検疫措置はビジネスの生死を左右することから政府が「クリスマスぐらいいいじゃないか」と考え1月8日からの実施にしたと私は個人的に考えています。
ウクライナのクリスマスは日本のようにKFCを食べて恋人と過ごすのとは大きく違います(笑)。クリスマスイブには家族と12種類の肉以外の食材(魚と野菜)を食べます。肉を使用しないボルシチ、バレニキ(ジャムなどが入った餃子風デザート)、ビーツサラダなどが食卓に並びます。ウクライナにはゴッドマザー、ゴッドファザーの習慣があり、ゴッドチルドレンはゴッドペアレンツの家を訪問してコリャドカ(クリスマスキャロル)を歌い、お礼にお金をもらいます(昔はお菓子がメインだったらしいです)。かくいう私もウクライナ人妻の実家でこれらを毎年体験しています。私の妻は5人ゴッドチルドレンがいます。
以上、氷点下のウクライナの首都キエフよりお届けしました!
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