エリザベス女王死去後、オーストラリアでは、「5ドル札」に大きな関心が寄せられている。それは、現行の5ドル札のデザインに使用されているのが、女王の肖像画だからだ。
女王の死去を受けて、オーストラリアは様々なところで混乱が生じている...と前回のコラムにも書いたが、女王の顔が使用されている紙幣やコインのデザインについても、賛否両論、様々な意見が噴出。なかでも、女王の顔が最も目立つデザインとなっている5ドル札がとくに注目を集め、国内で熱い議論が交わされているところだ。
女王に代わって5ドル札に描かれるのは、チャールズ国王なのか?それとも他の誰かになるのか?
チャールズ国王のデザインは、オーストラリアの紙幣としてふさわしいのか?
エリザベス女王の肖像が描かれた紙幣は、1953年に登場した。まずは、当時発行されていた1ドル札に、その後、幾度かの変遷があり、現在使用されているポリマー紙幣の5ドル札に描かれるようになった。この女王デザインのポリマー製 5ドル札は、約2億枚が流通しているという。そこで、女王に代わって君主となったチャールズ国王が5ドル札に描かれることになるのか?が、議論の的になっているというわけだ。
ところが、オーストラリアの紙幣にチャールズ国王はふさわしくないという意見も...
人によっては、チャールズ国王の王としての適任条件をあげる人もいるが、ジム・チャルマーズ財務長官が述べた以下の見解が、これからのオーストラリアの行方を表しているようにも思える。
「君主を(自国の)通貨から除外することは、この国にとって議論の余地はないはずです」(参照)
チャルマーズ財務長官のこの言葉の背景には、チャールズ国王自体が問題ということではなく、オーストラリアは英王室を君主とする立憲君主制から、完全な共和制へ移行するべきだという意見が再燃していることにあるといえそうだ。共和制へ移行については、過去に何度か国民投票を行うなどしてきたが、実現せずにここまで来ている。
そんな複雑な事情もあるなかで、もう英王室ではなく、人気テレビ番組「クロコダイル・ハンター」で名を馳せた故スティーブ・アーウィン氏やイボンヌ・グーラゴン氏(テニス選手)といった、この国を代表するアイコン的な人物がいいのではないかという意見も浮上。これはこれで、実現したら面白い。(参照)
I've drafted some mock-ups for your approval pic.twitter.com/rMB0eIUKcY
-- Regina George Michael (@charlesrockhill) September 8, 2022
とはいえ、5ドル札のデザインについては、今後18ヶ月に渡って広く議論していくべきだと、前出のジム・チャルマーズ財務長官は発言している。これから議論が交わされ、デザインを決定していくとなれば、もしも、チャールズ国王デザインの5ドル札が発行されることになったとしても、実際に流通するのはかなり先のことになりそうだ。〈了〉