ニューヨークでは今、ファッションウィークの真っ最中。世界中のブランドやデザイナーが集まり、街じゅうがファッションショー会場のような熱気に包まれている。今回足を運んだのは Renee Cafaro Atelier のショー。インクルーシブなサイズ展開で知られるブランドで、デザイナーのレネー・カファロは「誰もが主役になれる服」を作ることを信条にしているそう。

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ニューヨークで長年ライターをしてきたけれど、NYファッションウィークを現地で取材するのは初めて。少しドキドキしながら会場に向かったが、そこは思いのほか和やかな雰囲気。プラスサイズ・ファッションショーだからなのか、いわゆるスノッブなファッションマニアたちのピリピリ感がなく、知らない人同士で写真を撮り合ったり、笑い合ったりしていた。

日本ではプラスサイズの服というと「かわいい系」が多いが、ここではクールビューティー系が主流。堂々としたモデルたちが登場すると、客席からは「ヒュー!」と歓声が上がり、会場の空気が一気に引き締まる。最初にランウェイを歩いたのは、まさかの男性モデル。思わず「おっ!」と声が出そうになった。

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ショーが終わると、デザイナーやモデルたちを囲んでの和やかな時間に。ジッパーやリボンを大胆に使ったドレス、レコードがぶら下がったユニークなデザインなど、間近で見ても細部まで面白い。私が一番気に入ったのはワイングラスが転がっていて、赤いワインで少しにじんでいる白いドレス。

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モデルさんが横を通ったときに、「ワインが配られてるのか?」って、思わずキョロキョロしてしまったのだけど、デザインだと気づいて、ちょっと自分が恥ずかしかった。まるでパーティーの翌朝みたいな、ちょっとした物語がドレスに込められているようで、遊び心たっぷり。ランウェイってかっこよさ一辺倒なイメージがあったけど、こういうユーモアが入ると一気に親近感がわく。

ファッションって、ただ着るものじゃなくて、会話のきっかけになったり、人を笑顔にしたりするものもあるのだと気づいた。

そしてこの日の主役のひとり、日本からこのランウェイのためにニューヨークへやってきたプラスサイズモデルの桃果愛。昨年もNYファッションウィーク中に取材させていただいたが(昨年の記事リンク)、ランウェイでも、とてもキュート。ほかのモデルが「身長2メートル級!?」と思うほどダイナミックなのに対して、桃果は小柄ながらも迫力満点。堂々とランウェイを歩き、まったくひけをとっていなかった。

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ランウェイを歩く桃花愛さん

そんなプラスサイズモデルがランウェイで輝く一方で、最近はアメリカでも日本でも「痩せる注射」と呼ばれる糖尿病治療薬(GLP-1製剤)に頼る人が急増している。セレブたちがSNSで使っていることを明かしたことでブームになったが、本来は糖尿病や肥満症の治療薬。副作用やリバウンドのリスクもあり、健康な人が短期的に痩せる目的だけで使うのは危険とされている。せっかく多様な美しさが称賛される時代になったのに、ただ「痩せる」ことだけが目的になってしまうのは少し残念だ。

でも希望もある。日本では、マツコ・デラックスさんに続いて、今人気沸騰中のアレン様のように、ふくよかな体型で自分らしく活躍している人も出てきている。アレン様の堂々としたスタイルは、これからの日本の女性たちにとって新しいロールモデルになっていくはず。

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デザイナーのレネー・カファロ
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ファッションウィークは派手でファッションクリティックたちが集うスノッブなイベントというイメージを持っていたが、ここでは多様性と包容力が主役。観る人も参加する人も、みんなが楽しんでいるのが印象的。次はどんなショーが観られるのか、ますます楽しみになった。

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招待客で来ていたプラスサイズモデルさんもオシャレ
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私たちの前の席に座っていたクリエイターというお姉さんたちもクールビューティー

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