2021年5月時点で、YouTube累計登録者数は4,000万人以上、累計再生回数は540億回を超えを記録している「ライアンズ・ワールド」。子ども向けチャンネルで、ライアン (9歳)、双子の姉妹、ベトナム系アメリカ人の母、そして福島出身の父親、カジ・シオン達が出演している。
Forbesによると、ライアン君は2020年世界で一番稼いでいるYouTuberで、その金額は年収2950万ドル(約30億5000万円)に登る。
世界では「家を爆発させてみた」などの刺激的な動画が多くの視聴者に見れる一方、「ライアンズ・ワールド」は科学実験、家族のチャレンジ動画など安心して観れる教育的なコンテンツを発信しているのが人気の理由だ。
ライアン君のマネジメントで父親のカジ・シオンは一人の父親として子供を育て教育していく上で、心がけていることはなんなのか。どのように日本の若者が世界で活躍できるかを、アメリカNo.1のYouTuberの視点から解く。

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(書き手:木村美紀)
<子どもがチャレンジしたい事は絶対にNOと言わない>
── YouTubeを始めたきっかけはなんでしょうか。
当時3歳だったライアンが僕と妻に、自分でYouTubeチャンネルのおもちゃレビュー動画を出したいと言ったのがきっかけでした。当時、私はYouTuberいう職業があること自体知らずすごく不安でした。
とはいえ子供たちが新たにチャレンジしてみたいことがある時は、絶対にNOと言わないで、まずは一緒にやってみるようにしています。そこでできるだけチャレンジさせてあげて、僕たちも常にサポートするようにしました。
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── ライアンくんのYouTubeなどで拝見して、ご両親も一緒になって楽しんでるのが印象的ですが、初めからカジさんも出演する予定だったのでしょうか。
始めはライアン一人で出ていたんですが、それだとライアンにとっての負担が大きく、僕たちも親も動画に参加しました。一人でYouTubeをやっている人皆さんが経験することだと思うんですけど、"burn out"といってちょっと燃え尽きてしまうことがあります。そういったこともライアンに経験して欲しくないなと思ったのです。
また、動画を観てくれる子ども達にとってライアン家に遊びに来るような感覚で観てほしいとも思い演出を変えました。お父さんやお母さんと一緒に遊びアクティビティを一緒にするというのが、友達の家に遊びに行っときのナチュラルな経験ですよね。

<子育論:意思決定力がある子に育てる>
── ライアンくんを子育てする上で、気をつけられていることは何でしょうか。
意思決定力をつけることです。アドバイスをする際には、ライアンに「どう思う?」と意見も聞くように心がけています。彼が納得しないことは入念に話し合い、それでも同感しない時は実際にチャレンジさせて、自分で経験させてからなんで上手くいなかったのか、どう改善できるか一緒に考えるようにしています。僕たちが言いことに、ただ「イェスイェス」だけで育つ子供にはなって欲しくなかったからです。
そのおかげで、撮影でディレクターさんに提案されても、「いや僕はこう思いますが、どうですか?」と自分の意見をちゃんと言うようになりました。YouTubeで自分のファンや視聴者さんに自分のメッセージをちゃんと伝えることが出来ているのは今までの積み重ねだと思っています。
── YouTubeをするにあたって、印象的だった体験はありますか?
妻がプロデューサーとして関わっている「スポンジ・ボブ」など人気の番組を放送しているアメリカトップの幼児・児童向け番組「ニコロデオン」のに演者としてライアンと一緒に出ている時です。
撮影現場には子供たちがプライベートや教育にも専念できるよう、撮影していない時間に学校のカリキュラムを教えてくれるセットティーチャーや、休む時間をストップウォッチ確保する職務の人もいました。
子どもタレントはプレッシャーが大きすぎる、プライベートの時間がない、学業両立できないなどのネガティブなイメージがあると思いますが今のハリウッドはそうではありません。ハリウッドの子どもたちを全力でサポートする姿勢を見て、とても勉強になり子どもたちのYouTubeを撮影する上で参考にしています。
── まだ日本にはあまりない考え方だと思っています。動画のビュー数や収入ではなく、インフルエンサーだからこそどう世の中に良い影響をもたらさなければいけないか、と言うことを考えなければいけないと思います。その点ライアン君からは、例えば大震災の時もそうですが、それ以外の時もいろんなアクティビティで世の中を良くしようと言うのがすごく伝わってきます。

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<コンテンツ作成で動画再生数より大事なこと>
── もしカジさんが今、日本のインフルエンサーをプロデュースするとしたらどう指導しますか?
センセーショナルなコンテンツの方が多くに人に閲覧されてしまいますが、閲覧数などに囚われすぎないよう指導します。
クリエーターさんは閲覧してもらう事で収益を得るのが現状ですが、収益に着目しすぎると人に閲覧してもらうだけのコンテンツしか作成されず有益なコンテンツが少なくなってしまいます。コンテンツを作る上でどう見ている人にインスピレーションを与えるのかのをまず考えて欲しいです。
収益をYouTubeだけに絞らず、他の角度でどうやって企業としてやっていけるかと考え、聴者にポジティブな影響与えられるコンテンツをどんどん作って欲しいですね。
<日本人が世界で活躍できる方法>
── アメリカの最前線を走っていているカジさんにとって、日本の若い子はどう世界で活躍できると思いますか?
日本人は日本の文化や歴史によって、他国に比べ独特な感性と視点を持っています。例えば、ブランドだったりとかコンテンツも他の国では成功しているけれど、日本では全く別の戦略をしないと失敗してしまうという事も多いのです。逆に日本で生まれるコンテンツはとても斬新なコンセプトなのにも関わらず、世界の方々からは評価を受けています。日本のブランドコンテンツは他国にはないのが良い点がと思います。
── 多くの日本人は海外移住などに踏み出せないケースがあると思います。どうやったら一歩を踏み出せると思いますか?
周りと違う考えを持っているということを逆に長所と思うことがが大事です。今では大人気キャラクターでゲーム実況する「Combo Panda」のプロデュース提案した際、アメリカ人チームには「実物の人ではダメなのか」と否定されました。日本では、アニメキャラクターのチャンネルは数年前から存在しますが、アメリカではその文化はありません。しかし、私は成功する確認があったため、チャレンジしました。
絶対成功するという自信があれば、自分を信じ妥協せず押し通すのが日本人には必要です。自分一人だけ全く違う考えを持っていると批判は多いと思いますが、だからこそ突き出たものが出るのだと思います。「他の人が考えなかったものを自分は考え着いた」と自信を持って意見を出してほしいです。
<世界で挑戦する日本の若者に送るメッセージ>
── 最後にこれから世界で挑戦しようあるいはYouTuberに挑戦してみたいなって思っている日本の若い子たちにメッセージをお願いします。
日本で生まれ育って培った感性や視点は世界の人にとってユニークで素晴らしいものなので、自信を持って世界の人に自分が学んだこと、経験したことを伝えて欲しいです。
