去年12月26日(アメリカ時間)、「Clubhouse」にてライオンキング・ミュージカルが開催された。

日本で爆発的な流行となった「Clubhouse」だが、今や第一次ブームは去ったと言われている。しかし、アメリカでは4月時点でもジャスティン・ビーバーなどの大物セレブリティが参加しており、継続的にアクティブユーザーを保っている。

コロナ禍でミュージカルが中止される中、Clubhouse版ライオンキング・ミュージカルは大成功に終わり、Twitterで#TheLionKingCHが一日中トレンド入りした。

この企画のExecutive Producerを務めたのが、Noelle Chesnut Whitmoreだ。彼女は、12年間、世界屈指の音楽フェスとして認知されている「コーチェラ」などのマーケティングやプロデュースを勤め、史上最も高く評価されているラッパーの一人、カニエ・ウエストやJay-Zなどの担当をしてきた。

現在は、史上初・リワードベースの音楽アプリを開発した『GeojamのCMOとして活躍している。

NoelleはなぜClubhouseでミュージカルを企画したのか、そして彼女のモチベーションの原点や夢は何なのか。詳しく話を聞いてみた。

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(書き手:木村美紀

<19歳でテレビ番組をプロデュース

──これまでのキャリアを教えてください。

『Geojam』に入るまでの12年間、ライブ音楽業界でイベント企画を担当していました。19歳で初めてテレビでイベントを企画し、当時はアーティストの卵だったDrake*、Trey Songz*、YG*、やMiguel*に声をかけ番組をプロデュースしました。大学卒業は、トップフェス・プロモーターの「コーチェ*ラ」などを運営しているGolden Voiceでマーケティングやアーティスト・リレーションの担当をしていました。そして、新しいことを学びたいと思い一念発起。ライブイベント企画を離れ、全く経験のなかったスタートアップ『Geojam』のCMOとして入りました。

*Drake:史上最も有名なラッパーの一人でデビューアルバムから8作連続全米1位を記録
*Trey Songz:2010年に3つの大手芸能賞授賞式にてベストR&Bアーティストを受賞
*YG:アメリカの三大ネットワークNBCが放送しているiHeartRadio MusicのHip Hop/R&B Song of the year 2015で優勝
*Miguel:グラミー賞2011の「ベストR&Bソング」にノミネート

── 19歳という若さでチャレンジができた理由はなんでしょうか?

最大の理由は私の両親です。幼い頃からずっと、「自分を信じ続けろ」「不可能なことはない」と言い聞かせてくれました。最初は企業宛に営業電話をするのは怖かったです。それでも、両親が教えてくれた言葉を信じて大胆不敵に行動しました。正直、このプロデュースでは収入を得られませんでしたが、私の人生を180度変えてくれました。その経験により、人々に喜びを与えらえるライブイベントの企画担当をしたいと強く思うようになったのです。

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<全米が感銘したClubhouse版ライオンキング・ミュージカル

── 先日、Noellさんが企画したClubhouse上のライオンキング・ミュージカルに衝撃を与えられました。ミュージカルを開催したきっかけを教えてください。

Clubhouseでの素晴らしい出会いがあったからです。とあるルームで初めてChris Bogieの低くて響きの良い声を聞いた時、「ライオンキングのムファサにそっくり」だとうっすら思っていました。その後、当時ClubhouseアプリのアイコンだったBomaniの赤ちゃんの頃の写真を見て、ピンときたんです。彼は幼少期には頭がもじゃもじゃで、ライオンのタテガミにそっくりでした。ここで、「そうだ!ライオンキングをやろう!」と決めました。スタッフやキャスト、全員のタイミングがぴったり合い、ライオンキング・ミュージカルを実行することができました。

── キャストはどのように集めたのでしょうか?

Clubhouseでのオーディションです。

どのような人がオーディションに来るか全く分からなかったため、新しい形のオーディションとしてとても楽しめました。オーディションルームにはリスナーも含め、合計150〜200人が参加してくださり、既にコミュニティができていました。

── Clubhouseでミュージカルをするにあたって一番大変だったことはなんですか?

キャスト40人ほぼ全員会ったことがなく、2〜3週間という短時間で披露しなければならなかったことです。リハーサルも3日しか実施できなかったため、成功するか心配でドキドキでした。

── 一方で、プロデュースしてよかったと感じた瞬間はなんでしょうか?

反響も嬉しかったのですが、キャスト全員がリハーサルや本番を心から楽しんでいたことは最高に幸せでした。今では家族のように思います!また、ミュージカル後にClubhouseでキャストとリスナーが話せる「リアクション・ルーム」を開き、子どもたちがとても興奮してキャストに話しているのを聞き、私は感動のあまり号泣してしまいました。

── 素敵ですね!「リアクション・ルーム」によって、ミュージカルをするキャストとリアクションをするリスナーの関係ではなく、一つのコミュニティになっていたのが印象的です。このアイディアはどこから来たのでしょか?

リスナーのリアルな声が聞きたいと思った事から思い浮かびました。、確かにツイッターとかで文章として意見を聞くことはできますが、声のトーンや表情はなかなか伝わってこないですよね。でも、Clubhouseでは人の声が生で聴ける。私たちはリスナーにどのような影響を与え、どのような気持ちにしたのかそのままの声を受け取ることができます。

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<史上初リワードベースの音楽SNS「Geojam」>

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世界初リワードベースの音楽アプリ『Geojam』

── 次に、現在参画している音楽SNS『Geojam』と現在されていることを教えてください。

Geojam』はアーティストとファンが音楽や経験を通して繋がれる革命的ハイテク音楽SNSです。特徴の一つは、リワードベースで、アプリ内で音楽を聴いて得るポイントを引き換えに、好きな大物アーティストとビデオ電話や広告に映る体験ができます。二つ目の特徴としては、誰でも音楽を共有し、コメントを通じてコミュニティーを作れます。私はCMOとして『Geojam』のマーケティングやブランディング、そしてアーティスト・リレーション担当をしています。

──『Geojam』とはどう出会ったのでしょうか?

Clubhouseで『Geojam』のCEO、Sarah Figueroaと出会ったのが始まりです。私主催のルームに参加したのち、LinkedInのメッセージでCMOのオファーをいただきました。

──『Geojam』での夢はありますか?

世界中の方々に音楽の力を届けつつ、音楽を超えた経験もしてもらいたいです。今後も、さらに多くの大物アーティストやアスリートとファンが実際に触れ合える場所を作る予定です。

CMOとしてはやはりブランドを世界に広めることが一番の夢です。日本展開も予定しているので、楽しみです!

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『Geojam』の一番の特徴、リワードベースはアプリ内で音楽を聴き、ポイントを稼ぎ、オリジナルグッズやアーティストとビデオ電話などの豪華体験と交換できる。

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<モチベーション原点は家族の存在>

── 12年間、ライブイベントプロデューサーとしてキャリアを積んでいましたが、スタートアップのCMOになろうと思った理由はなんですか?

前提として、ライブイベント企画は今でも大好きです。ライブイベントプロデューサーにならなければ今の私はいませんからね。しかし、一度自分が安心できる場所から出てみたかったんです。文化や環境が急速に変化するTech業界で今何が起きているか、そして新しいことにチャレンジしてみたく、『Geojam』にジョインしました。

私のパッションの原点である「音楽」という業界は変わっていませんし、そこにテクノロジーが混ざり、とても興味深いです。

── モチベーションを保てている秘訣はなんですか?

最大のモチベーションは、「家族に誇りに思ってもらいたい」という気持ちです。家族は私の全てと言っても過言ではなく、それほど愛しています。また、私の家族は、次の代に100倍良い暮らしを与えたくて、全力で働いていました。もし私も子どもを授かった際にはそのバトンを受け取り、私より100倍良い生活を与え、子どもの目標を達成できる親になりたいです。

<ヘイトクライムへ立ち向かう日本人女性に送るメッセージ

── 現在、アメリカではアジア人女性へのヘイトクライムが相次いでいます。特に日本人女性へメッセージはありますか?

最も忘れないでいてほしいことは、女性は、強いということです。私たちは、子どもを産めるほど強く、そして産んだ子どもを誰よりも愛し育てることができます。

身の回りの女性、例えばお母さん、祖母、叔母や親友なしでは今のあなたはいないと思います。それほど、女性の存在はとっても深く大きいのです。

今の時代、どんな困難や障害が来ても、お互いを高め合うことが女性にとっての義務であり責任だと思っています。

なので、これを読んでいる女性には、あなたは素晴らしい人であり、夢を追いかけることを恐れないでいて欲しいですと言うメッセージを伝えたいです。

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文・編集:木村美紀