こうした戦略を日本はどう受け止めるべきなのか。チャンスなのか、リスクなのか? 外交方針は、中国の口約束ではなく行動を注視しながら調整していくことになるだろう。関係強化が口先だけで行動を伴わないなら、無視するべきだ。

1930年代の欧州から日本が学べる最大の教訓は、侵略者の意図は正しく見抜かなければいけない、ということ。1938年のミュンヘン会談の前に、英米がアドルフ・ヒトラーの暴走を止めることは可能だった。だがそうはならず、気付けば手遅れになっていた。中国はナチスドイツと同様の脅威なのか、それとも現行の国際ルールに適応できる国なのか、日本は見極めなければならない。

もう1つの教訓は、世界的危機において、無傷でいられる国はないということだ。危機を乗り越える手段は、国際協力をおいてほかにない。30年代にはこの役割を担う能力と意欲のあるリーダーも国もなかった。

世界恐慌から世界大戦へとなだれ込んだ悲劇を繰り返さないために、日本は積極的な役割を果たさなければならない。

<2020年5月5日/12日号「ポストコロナを生き抜く 日本への提言」特集より>

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2020年5月5日/12日号(4月28日発売)は「ポストコロナを生き抜く 日本への提言」特集。パックン、ロバート キャンベル、アレックス・カー、リチャード・クー、フローラン・ダバディら14人の外国人識者が示す、コロナ禍で見えてきた日本の長所と短所、進むべき道。
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まず、明るい兆しはない。1930年代の世界恐慌と同じく、危機の中で国際協力体制は破綻した。各国は国境を封鎖し、重要な医療用品の輸出を禁止している。国連とWHO(世界保健機関)は存在感を失った。コロナ禍が世界恐慌と同様の影響を世界秩序に与えるならば、たとえワクチンが早期に開発されても、保護主義の強化で経済は分断され、地政学的リスクは深刻化するだろう。