オーストラリアのコロナ対策、そしてそれに対する社会の反応、オーストラリアの医療制度などについて書いていきたい思います。
私は現在、ブリスベンで家庭医として地域の方の診療にあたっています。家庭医とは、日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、海外ではプライマリ・ケアの中心を担う専門家です。オーストラリアではGeneral Practitioner、アメリカではFamily Physicianと呼ばれています。基本的に赤ちゃんからお年寄り、急性疾患から慢性疾患、臓器の種類に関わらず様々や病気を診療する町のお医者さんといった感じです。
オーストラリアは3月の中旬以降からコロナ感染者の数が増加し始めたことに対し、いくつかの対策を行いました。今回はオーストラリアでの初期のコロナ対策の中で効果があったと思われる政策について医師の立場からお話します。
医療機関での受診方法
まず3月中旬から、オーストラリア政府が医療機関でのテレヘルスの保険対応を承認しました。医療関係者や医療施設でのコロナの感染を防止するため、多くの医療機関が電話、又はビデオ電話での診療に切り替わりました。そして、現在もテレヘルスが主な診療体制となっています。私が診療を行っているクリニックでも基本的にすべての患者を電話で問診し、必要であれば実際にクリニックに来ていただく方針をとっています。咳、鼻水、熱、のどの痛みなど少しでもコロナの可能性のある症状の患者は特別に設けた部屋で、防護服を着用し診察にあたっています。

ロックダウン
他の政策として、オーストラリア政府は3月末から不要不急の外出を控えるよう発表しました。そして、レストラン、パブ、映画館など多くの施設の一時封鎖が行われ、学校や大学もリモート学習に切り替わりました。いわゆるロックダウンです。ロックダウンのレベルが最高レベルになると、買い物は家族で誰か一人が代表で、家から半径5キロ以内のお店ではいけないなどのルールがありました。また各州の州境も封鎖されました。現在も州境は閉じたままです。日本でも不要不急の外出を控えるようにと呼び掛けがありましたが、オーストラリアでは、施設封鎖指示に応じなかったり、州境を無断で越えようとした場合に高額な罰金や処罰が下されるという点は日本とは大きく違います。

PCR検査の増加
その他の政策としては、かなり早い段階から国境を封鎖し、オーストラリア国内のコロナの数が少ないうちからPCR検査の数の増加に力をいれた点だと思います。当初は検査キットが足りない、検査対象の枠が狭いなど問題はありましたが、幸運にも感染者が多くなかったので、感染経路を負うことができていました。3月末から始まった厳しい規制は徐々に緩和され、5月末から学校への登校も再開されました。
しかしオーストラリアのコロナの状況はまだ油断できない状態が続いています。ブリスベンがあるクイーンズランドでは新しい感染者はほぼゼロに近いですが、完全にゼロになっていません。そしてメルボルンがあるビクトリア州では6月末からコロナの数が一気に増加し、再びロックダウンに入りました。その後のオーストラリアの状況については次回お話いたします。